第100回日本豚病研究会 研究集会のお知らせ(第一報)

令和4年2月8日
日本豚病研究会事務局

日本豚病研究会会員各位

 

第100回日本豚病研究会 研究集会のお知らせ
(第一報)

 
 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

 令和4年度日本豚病研究会定期総会及び第100回研究集会を下記の通り開催いたします。

 新型コロナウイルス感染症の発生状況により開催方法がオンラインとなる可能性があります。

 最新情報は逐次HPに掲載しますので、随時確認いただきますよう願い申し上げます。

 

日時:  2022年5月20日(金)13:00~17:00

場所:  文部科学省 研究交流センター(茨城県つくば市竹園2-20-5)

参加費: 会員は無料、非会員は1,500円

* 新型コロナウイルス感染症の発生状況によりオンライン開催となる可能性があります。
* 最新情報は逐次日本豚病研究会ホームページにてお知らせいたします。随時ご確認願います。

 

 以上

日本豚病研究会 第107回研究集会開催のご案内

日本豚病研究会は、令和8年度定期総会および第107回研究集会を下記の要領で開催いたしますのでご案内致します

 

日 時: 令和85月22日(金) 13:00~17:00 
場 所: 文部科学省研究交流センター 
〒305-0032 茨城県つくば市竹園2-20-5 
駐車場は敷地内北側にあります。 
https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/kouryucenter/
参加費: 会員無料、非会員は1,500円

【研究集会終了後、懇親会を予定しております】
時 間: 令和年5月2金)18:00~20:00 
場 所: Beer & Café Engi(文科省研究交流センターより徒歩15分程度)
305-0031 茨城県つくば市吾妻1丁目10−1 つくばセンタービル 1階 
会費:5,000 
参加登録:5月19日(火)までに下記のいずれかの方法にてお申し込みください。 

1.以下のリンク先から登録
https://forms.gle/6wxKYYeShHYD6Kfx7
2.お名前及びご所属をtonbyouken@gmail.com(事務局)に送信 

 

日 程 

1.開 会   令和8年度定期総会                (13:00~13:30)

[休 憩 13:30~13:40] 

2. 第26回藤﨑優次郞賞受賞記念講演               (13:40~14:30

 座長:小泉 舜史郎 [埼玉県中央家畜保健衛生所] 

豚熱およびアフリカ豚熱の迅速識別診断法の開発と社会実装を通じた地域防疫の強化 
國保健浩、西達也、深井克彦(農研機構 動物衛生研究部門 越境性家畜感染症研究領域) 

[休 憩 14:30~14:40 

3. 退任記念講演                        (14:40~15:00) 

座長:佐藤 真澄 [日生研株式会社] 

日本豚病研究会に思うこと 

津田 知幸(日本豚病研究会 会長) 

[休 憩 15:00~15:10 

4. 特別講演 PRRS制御の新時代:新たなウイルス系統分類とPRRS耐性ブタ開発の最前線                             (15:10~1650) 

座長:宮﨑 綾子 [農研機構動物衛生研究部門 

4-1 日本国内におけるPRRSウイルスの遺伝的遷移と系統分類の再定義:ClusterからLineage                            (15:10~15:50) 

平 修(日本生物科学研究所 

 座長:呉 克昌 [バリューファーム・コンサルティング] 

4-2 Advancing PRRS Control: The Biology, Application, and Impact of Disease-Resistant Pigs                            (15:50~16:50) 

Lucina Galina Pantoja (Pig Improvement Company)  

5. 閉会(16:50~1700) 

 

講演要旨 

●第26回藤﨑優次郎賞 受賞記念講演 

豚熱およびアフリカ豚熱の迅速識別診断法の開発と社会実装を通じた地域防疫の強化 

國保 健浩、西 達也、深井 克彦(農研機構 動物衛生研究部門 越境性家畜感染症研究領域) 

2018年、日本の養豚界は突如アフリカ豚熱と豚熱という二つの家畜伝染病の脅威に晒されることになった。両疾病は原因ウイルスこそ異なるものの症状や感染様式に共通点が多く判定には遺伝子検査が不可欠なため、長らく家畜防疫員により疾病ごとに異なる煩雑で時間を要する遺伝子検査が実施されてきた。我々はこの検査体系の抜本的見直しを図るため国内企業と共同で新たな検査法の開発に着手し、2021年11月、従来法と一線を画する核酸精製を必要としない迅速・高精度な識別検査法―ダイレクトマルチプレックスリアルタイムPCR法―を構築、上市した。今般、この検査系の開発と普及にかかる我々の取り組みを高くご評価頂き、栄誉ある藤崎優次郎賞にご推挙賜ったことに対してご関係の各位に深く感謝申し上げたい。 

●退任記念講演 

日本豚病研究会に思うこと 

津田 知幸(日本豚病研究会 会長) 

 昭和55年(1980年)に農林水産省家畜衛生試験場(家衛試)に入った翌年、研究第2部の藤﨑優次郎先生の下に配属となり、豚病研究会の運営にかかわるようになった。先生が立ち上げられた勉強会を前身とする本会は、しばしば鶏病研究会と比較されるが、養鶏会の要望を受けて行政指導によって成立した鶏病研究会とは生い立ちが異なる制約の少ない集まりである。発足当時から本会には全国の家畜保健衛生所やワクチン製造会社の皆さんが多数参加されており、豚病に関する研究に加えて、他分野で用いられている新技術など様々な話題を取り上げて熱心な議論が展開されていた。現在の豚病研究会の会員構成も、都道府県の家畜衛生担当者や民間の飼料、医薬品の製造販売関係者の割合が高いことからも、本会の活動基盤は変わっていないと思われる。豚病研究会の歴史を見ると発足当初は豚コレラやオーエスキー病などの話題があったものの、国内的には急性伝染病の話題は少なかった。しかし、この四半世紀で状況は大きく変化し、FMDに始まりPRRSやPCV2、ASFに豚熱といった様々な病気が国内外を問わず大きな問題となっている。豚病研究会でこうした病気を話題として取り上げるには、単に学術的な部分のみならず、社会経済的な側面も踏まえた行政的対応や防疫手法等も議論に加え、会員の皆さんの業務にも資するような運営に心がけてきた。本講演ではこれまでの経緯とともに私の思いを伝えたい。 

 

●特別講演 PRRS制御の新時代:新たなウイルス系統分類とPRRS耐性ブタ開発の最前線 

日本国内におけるPRRSウイルスの遺伝的遷移と系統分類の再定義:ClusterからLineage 

平 修(日本生物科学研究所) 

PRRSは経済損失が大きく、制御には飼養衛生管理・ワクチン介入と流行株の遺伝的同定が不可欠である。本講演ではPRRSV-2 ORF5に基づく分類手法の変遷(RFLP、国内Cluster、国際Lineage)を概説し、データ拡張とMLVの系統多様化に伴うトポロジー不安定性からCluster単独運用の限界を整理する。続いてWebツールによる分類(デモ)と標準化枠組みを紹介する。さらに19932023年の疫学的変遷、Lineage 1台頭・地域差、NADC34-like株の検出を再解釈し、WGS普及と組換えを踏まえた今後の監視体制と分類更新を論じる。 

 

Advancing PRRS Control: The Biology, Application, and Impact of Disease-Resistant Pigs 

Lucina Galina Pantoja (Pig Improvement Company) 

 Over the past decades, multiple host receptors have been proposed as essential for infection with Porcine Reproductive and Respiratory Syndrome Virus (PRRSV). More recent evidence has converged on a single indispensable receptor: CD163. Expression of CD163 confers susceptibility to PRRSV, and its introduction into non-permissive cell types renders them susceptible to infection. Conversely, gene-editing and knock-out studies have demonstrated that removal of CD163 in monocytes and macrophages—or specifically deletion of its scavenger receptor cysteine-rich domain 5 (SRCR5)—prevents viral genome release, thereby conferring resistance to PRRSV in vivo. 

 These findings have enabled the development of PRRSV-resistant pigs through precise targeting of the CD163 receptor using CRISPR-Cas9 technology. The generation of a founder population carrying a targeted deletion in exon 7 (CD163∆E7) is described. Resulting genotypes include homozygous pigs lacking domain 5 (CD163∆E7/∆E7), expected to be resistant to PRRSV, and heterozygous (CD163∆E7/+) or wild-type (CD163+/+) pigs, which remain susceptible. Stable Mendelian inheritance of this trait across generations has been demonstrated. 

 Comprehensive performance data comparing CD163 genotypes from birth through maturity are presented, including growth, reproductive performance, carcass characteristics, and meat quality. Resistance is evaluated against diverse PRRSV strains, including type 1 and type 2 field isolates and vaccine-derived viruses.  

 The broader implications of PRRSV-resistant pigs are considered, including potential reductions in antimicrobial use, decreased mortality, mitigation of the economic burden of PRRS, and improvements in environmental sustainability. Global consumer perspectives on gene-editing technologies in food animals are also discussed. 

 Collectively, these findings demonstrate that targeted gene editing of CD163 provides a robust and scalable approach to controlling PRRSV, offering a transformative opportunity to improve animal health, welfare, and production efficiency without compromising product quality. 

(和訳:過去数十年にわたり、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)の感染に不可欠な宿主受容体として、複数の候補が提唱されてきた。しかし、近年の知見は、CD163という単一の不可欠な受容体に焦点が絞られている。CD163の発現はPRRSVに対する感受性を与え、本来は非感受性である細胞種にCD163を導入すると、それらの細胞も感受性を示すようになる。逆に、遺伝子編集およびノックアウト研究により、単球やマクロファージにおけるCD163の除去、あるいは具体的にはそのスカベンジャー受容体システインリッチドメイン5(SRCR5)の欠失が、ウイルスゲノムの放出を阻止し、それによって生体内でのPRRSVに対する抵抗性を付与することが実証されている。 

これらの知見により、CRISPR-Cas9技術を用いてCD163受容体を正確に標的とすることで、PRRSV耐性豚の開発が可能となった。本稿では、エクソン7の標的欠失(CD163∆E7)を有する原種群の作出について述べる。その結果得られた遺伝子型には、ドメイン5を欠くホモ接合体(CD163∆E7/∆E7)—PRRSVに対する抵抗性が期待される—、およびヘテロ接合体(CD163∆E7/+)または野生型(CD163+/+)のブタが含まれ、後者は依然としてPRRSVに対する感受性を維持している。この形質の世代を超えた安定したメンデル的遺伝が実証された。 

出生から成熟期に至るまでのCD163遺伝子型を比較した包括的な生産成績データが提示されており、これには成長、繁殖成績、枝肉特性、および食肉品質が含まれる。PRRSV耐性は、1型および2型の野外分離株やワクチン由来ウイルスを含む多様なPRRSV株に対して評価されている。 

PRRSV耐性豚のより広範な意義についても考察されており、これには抗菌薬使用量の削減、死亡率の低下、PRRSによる経済的負担の軽減、および環境持続可能性の向上が含まれる。また、食用動物における遺伝子編集技術に対する世界的な消費者の見解についても論じられている。 

総じて、これらの知見は、CD163の標的遺伝子編集がPRRSVを制御するための強力かつ実用的なアプローチであることを示しており、製品の品質を損なうことなく、動物の健康、福祉、および生産効率を向上させる画期的な機会を提供するものである。 

 

会報87号(2026年2月)

内容著者ページ
口蹄疫総論15-11-5
2025 年に欧州及び韓国で発生した口蹄疫と農林水産省の緊急対応について

山田 匡之

6-14
2010 年の口蹄疫発生における壮絶な防疫対応とその後の関係者一体となった防疫体制について片山 貴志15-17
野生イノシシにおける豚熱及びアフリカ豚熱検査の現状
(日本豚病研究会第 106 回研究集会 講演概要)
富永 みその18-23
我が国の豚群に分布する非定型 Salmonella Typhimurium 流行系統の特徴新井 暢夫24-31
養豚場における感染症による肉豚の死亡原因と好発時期の傾向分析阿部 祥次
飯塚 綾子
平野 佳世
戸﨑 香織
小笠原 悠
矢野目 智幸
手塚 優奈
芝原 友幸
32-36

会報86号(2025年08月)

内容著者ページ
動衛研における近年の口蹄疫研究~口蹄疫の脅威に備える~西 達也
深井克彦
川口理恵
森岡一樹
1-7
豚熱(CSF)発生農場の近隣農場における緊急対応と防疫指導の実例石関史哉8-14
豚サーコウイルス2型(PCV2)各遺伝子型(PCV2a、PCV2bおよびPCV2 d)を識別するマルチプレックスPCR法の開発平 修
矢野(林)志佳
佐藤哲朗
15-19
HogStop® の紹介と今後の日本での可能性呉 克昌20-24

会報85号(2025年02月)

内容著者ページ
野生イノシシにおける豚熱サーベイランスの概要と疫学解析事例早山陽子1-7
新規豚丹毒生ワクチンと抗体検査法の開発について西川明芳8-12
ウイルス含有エアロゾルの液相捕集によるPRRSVとPCV2の流行動態評価に向けた取り組み安浦雅人
赤上正貴
川上純子
都筑智子
栗田敬介
鈴木雅美
藤井勇紀
堀口諭吉
芦葉裕樹
福田隆史
13-18
中国四国地方で確認された国内2例目となる野外PRRSV-1(欧州型)遺伝子大久保光晴
小池郁子
19-26

会報84号(2024年08月)

内容著者ページ
養豚管理獣医師としての地域防疫構築への取組志賀 明1-7
我が国におけるアフリカ豚熱ワクチンの開発研究について北村知也8-12
海外ASFワクチン事情國保健浩13-18
EUにおけるアフリカ豚熱に係るリスク管理の現状大快峻輝19-26
豚熱ワクチンによる免疫付与に影響を及ぼす要因の検討
~養豚生産現場における免疫獲得の実態~
香川光生27-38

日本豚病研究会秋の研究集会についてお知らせします

秋の研究集会は11月に開催されるAPVS2025に共催として参加するため開催いたしません。
次回は2026年5月22日の予定です。

 

APVS2025 第11回アジア養豚獣医学会 開催のお知らせ

「APVS2025 第11回アジア養豚獣医学会-アジアにおける継続的な養豚生産に向けて」が開催されます。

早期登録が8/31までとなり、9月以降は1万円登録料が上がります。
参加をご検討中の方はお早めのご登録をお願いいたします。

期日:2025年11月9日(日)~12日(水)
場所:福岡国際会議場ほか
生産者セミナー「ヨーロッパ、アジア、日本の養豚生産の実情と未来」:
Enric Marcoほか

基調講演:
*浅井鉄夫(岐阜大学/日本)
*井上 亮(摂南大学/日本)
*Clayton Johnson (Carthage Veterinary Service/米国)
*楠本正博(農研機構 動物衛生研究部門/日本)
*西 達也(農研機構 動物衛生研究部門/日本)
*Joaquim Segales (ComaInstitute of Agrifood Research and Technology (IRTA)/スペイン)
*Roongroje Thanawongnuwech (Chulalongkorn University/ タイ)
*Jeffery Zimmerman (Iowa State University/米国)
ほか

早期登録(7月1日~8月31日)参加費:
*一般 60,000円(税込)
*学生 10,000円(税込)

通常登録(9月1日~10月20日)・当日登録参加費:
*一般 70,000円(税込)
*学生 15,000円(税込)

同伴者(参加者家族)参加費:
8,000円(税込)

生産者(11月9日~10日の参加のみ)参加費:
25,000円(税込)

ガラディナー(11月11日)参加費:
20,000円(税込)

詳細:https://apvs2025.org/

日本豚病研究会 第106回研究集会開催のご案内(終了しました)

日本豚病研究会は、令和7年度定期総会および第106回研究集会春の研究集会を下記要領で開催しますのでご案内致します。 

  

日 時: 令和75月23日(金) 13:00~17:00 
場 所: 文部科学省研究交流センター 
     〒305-0032 茨城県つくば市竹園2-20-5 
     駐車場は敷地内北側にあります。 

【研究集会終了後、懇親会を予定しております】
時 間: 令和6年5⽉23⽇(⾦)18:00~20:00
場 所: 三浦飲⾷堂
〒305-0031 茨城県つくば市吾妻1丁⽬5
会費:7,000円
参加登録:5⽉19⽇(月)までに下記にてお申し込みください。(先着60名)
① QRコードを読み込んで登録
② お名前及びご所属をtonbyouken@gmail.comに送信

お申し込みフォーム

日 程

 1. 開 会   令和7年度定期総会               (13:00~13:30 

[休 憩 13:30~13:40] 

2. 一般口演                          (13:40~14:30 

座長:宮﨑 綾子 [農研機構 動物衛生研究部門] 

2.1 野生イノシシにおける豚熱及びアフリカ豚熱検査の現状     (13:40~14:05
富永 みその (農林水産省 消費・安全局 動物衛生課)

2.2 豚のアニマルウェルフェアに対応した使用管理技術       (14:05~14:30
竹田 謙一 (信州大学農学部 動物行動管理学研究室)

[休 憩 14:30~14:40 

3. 特別講演 Lesson to learn from FMD 2010           (14:40~16:40)

座長:生澤 充隆 [農研機構 動物衛生研究部門] 

3.1 口蹄疫総論                         (14:40~15:10)
深井 克彦(農研機構 動物衛生研究部門 越境性感染症研究領域)

3.2 動衛研における近年の口蹄疫研究               (15:10~15:40)
西 達也(農研機構 動物衛生研究部門 越境性感染症研究領域)

 

座長:舛甚 賢太郎 [農研機構 動物衛生研究部門]

3.3 2025年に欧州及び韓国で発生した口蹄疫と農林水産省の緊急対応について 
山田 匡之(農林水産省 消費・安全局 動物衛生課)       (15:40~16:10)                           
  

3.4 2010年の口蹄疫発生に伴う防疫措置とその後の関係者一体となった防疫体制について 
片山 貴志(宮崎県 農政水産部 畜産局 家畜防疫対策課)    (16:10~16:40)                           

4. 閉 会                           (16:40~17:00) 

 

講演要旨

●一般口演

野生イノシシにおける豚熱及びアフリカ豚熱検査の現状
             富永 みその(農林水産省 消費・安全局 動物衛生課) 

 野生イノシシでの豚熱・アフリカ豚熱サーベイランスの実施は、感染状況の把握や早期発見に必須であり、野生イノシシのみならず飼養豚での感染対策に必要な取組である。特に、発見時に死亡している個体(死亡個体)は、豚熱・アフリカ豚熱に感染している可能性が高く、検査の重要性が高い。しかし、死亡個体の臓器採材は交差汚染リスクが特に高く、また、腐敗進行による検査不適の懸念や作業者への衛生リスク・精神的負担が大きいといった問題もある。本講演では野生イノシシでの豚熱及びアフリカ豚熱サーベイランスに関する経緯とともに、死亡個体で開始した、簡便に採材可能な耳介検体による検査の妥当性及び有用性に関する分析結果を報告する。 

豚のアニマルウェルフェアに対応した使用管理技術
              竹田 謙一(信州大学農学部 動物行動管理学研究室 

世界的にアニマルウェルフェア(AW)に対応した家畜飼育が進められている。AWとは、動物が生活している状況(=日常の飼育環境)や死の状況(=食用目的のと畜や疾病管理目的のための殺処分)に関連した動物の身体的、精神的状態と定義されている。AWは現在、「5つの自由」という5つの視点から総合的に実際の飼育環境等を評価しようとしている。しかし欧米を中心に、「5つの自由」のうちの「正常な行動を発現する自由」に焦点が集まっている。演者らは、これまでに妊娠豚および分娩豚の正常な行動を発現しうる飼育環境下での行動評価や生産性評価を行ってきた。本講演では、その成果の一部や民間企業における取り組みについて紹介する。 

●特別講演 Lesson to learn from FMD 2010 

口蹄疫総論
        深井 克彦(農研機構 動物衛生研究部門 越境性感染症研究領域) 

口蹄疫は牛や緬山羊および豚などの偶蹄類の急性熱性伝染病であり、その名のとおり、口や鼻および蹄などの水疱形成を特徴とする。本病は強い伝染力を持ち、清浄地にひとたび侵入すれば、瞬く間にまん延する危険性を持っている。また本病は罹患動物に栄養障害や運動障害といった直接的な被害をもたらすとともに、発生国や地域に家畜や畜産物の輸出停止といった経済的被害ももたらす。わが国において本病は、2010年以降、15年間にわたって発生を見ていないが、近隣諸国においては未だ本病の発生が継続しており、依然として本病の侵入リスクは高い。特に隣国韓国においては、本年3月に約2年ぶりに本病が発生し、最大限の警戒が必要である。本講演においては、わが国への侵入リスクが最大限に高まった本病への備えとして、本病の性状について、改めて復習したい。 

動衛研における近年の口蹄疫研究
         西 達也(農研機構 動物衛生研究部門 越境性感染症研究領域) 

口蹄疫のまん延防止には、迅速な摘発と効果的な防疫対策が不可欠である。農研機構動物衛生研究部門(動衛研)ではこれまで、その基盤を構築し、さらに発展させるため、動物実験を通じたウイルスの病態解析と、それに基づく精度の高い診断法の確立、新規迅速診断法の開発と普及、さらにはまん延防止技術の開発に積極的に取り組んできた。本講演では、これらの研究の概要と主要な成果をご紹介する。  

2025年に欧州及び韓国で発生した口蹄疫と農林水産省の緊急対応について
              山田 匡之(農林水産省 消費・安全局 動物衛生課) 

2025年1月10日、ドイツで1988年以来の口蹄疫発生が報告された。3月7日、ハンガリーで1972年以来の発生が報告され、同月22日にはスロバキアでも1973年以来の発生が報告された。ハンガリー・スロバキアでは、発生地点周辺での続発も確認されており、今後の欧州における口蹄疫の発生拡大について予断を許さない状況が続いている。また、韓国においても、本年3月14日に、2023年5月以来となる口蹄疫発生が同国南部の全羅南道で報告され、発生地点周辺での続発が確認されている。農林水産省動物衛生課での各国当局の発生報告確認から、動物検疫所での動物検疫強化実施までの緊急対応の実態を紹介する。 

2010年の口蹄疫発生に伴う防疫対応とその後の関係者一体となった防疫体制について
           片山 貴志(宮崎県 農政水産部 畜産局 家畜防疫対策課) 

2010年に宮崎県で発生した口蹄疫は、4月20日の牛農場での初発事例以降、国内で初めて豚への感染が確認されるなど、県央部の児湯・西都地域を中心に同時多発かつ面的な感染拡大がみられた。さらに、5月18日には都道府県では初となる「非常事態宣言」を行ったため、畜産業のみならず県内経済や県民生活にも大きな影響を及ぼした。また、発生に伴う農場での殺処分や消毒などの防疫作業は、全国からの動員や自衛隊の協力を得ながら7月4日までに終了したが、計297,808頭の尊い命が犠牲となった。その後、農場内に封じ込めた家畜排せつ物の堆肥化処理を進め、4月の発生確認から130日間が経過した8月27日に終息した。
この口蹄疫を経験した本県は、もう2度と発生させないという強い想いを胸に、家畜防疫を畜産経営の土台と位置づけ、県内の関係者が一体となった防疫体制を構築した上で、口蹄疫からの再生、復興、畜産の新生を力強く進めてきた。
今回は、口蹄疫発生当時の壮絶な防疫対応と、口蹄疫以降に構築した新たな防疫体制による『家畜防疫の4本柱』(「水際防疫」、「地域防疫」、「農場防疫」、「万一の発生に備えた迅速な防疫措置」)の取組について紹介したい。 

 

 

第105回日本豚病研究会・2024年度日本豚病臨床研究会・ 令和6年度日本養豚開業獣医師協会 第14回合同集会のお知らせ(終了しました)

日本豚病研究会、日本豚病臨床研究会、日本養豚開業獣医師協会は、第 14 回合同集会を
下記の通り開催いたします。なお、ご参加にあたっては「【別紙】参加登録要領」をご確認のうえ、2024 年 10 月 17 日(木)までに事前登録をお願いいたします。

日 時: 2024 年 10 月 25 日(金) 10:00~17:00
9:30 より受付
場 所: つくば国際会議場 多目的ホール
茨城県つくば市竹園 2-20-3
開催形式: 集合形式およびオンラインウェビナー形式
参加資格: いずれかの団体の会員であること(賛助会員を含む)
但し、非会員の方は、日本豚病研究会の会員へご登録いただくことにより参加可能です。詳細は「参加登録サイト」にてご確認ください。
定 員: 現地参加 300 名(先着順)
オンライン参加 定員なし
参 加 費: 集会 無料
懇親会 8,800 円(希望者)
締 切: 2024 年 10 月 17 日(木)

以上

日 程

開 会(10:00~10:05)
〇 統一テーマ「豚熱」(10:05~15:10)

座長:深井 克彦(農研機構 動物衛生研究部門)

1. 野生イノシシにおける豚熱サーベイランスの概要と疫学解析事例 (10:05~10:45)

農研機構 動物衛生研究部門 早山 陽子[豚病研]

2. クロバエによる豚熱ウイルスの伝播リスク評価 (10:45~11:25)

栃木県県央家畜保健衛生所 小笠原 悠[豚病研]

座長:小池 郁子(エス・エム・シー㈱)

3. 豚熱ウイルス E2 抗原によるブースター効果の検証(11:25~12:05)

㈱微生物化学研究所 原田 ひかる[JASV]

[昼休み(各自昼食をお取りください)12:05~13:30]

座長:小池 郁子(エス・エム・シー㈱)

4. 豚熱発生農場の近隣農場における緊急対応と防疫指導の実例 (13:30~14:10)

グローバルピッグファーム㈱ 石関 史哉[豚臨研]

5. HogStop の紹介と今後の日本での可能性(14:10~14:50)

㈱バリューファーム・コンサルティング 呉 克昌[JASV]

座長:深井 克彦(農研機構 動物衛生研究部門)

座長:小池 郁子(エス・エム・シー㈱)

6.総合討論 (14:50~15:35)

[休憩 15:35~15:45]

〇 一般口演 (15:45~16:45)

座長:新井 暢夫(農研機構 動物衛生研究部門)

1. 新規豚丹毒生ワクチンと抗体検査法の開発について (15:45~16:05)

農研機構 動物衛生研究部門 西川 明芳[豚病研]

座長:石川 弘道(㈲サミットベテリナリーサービス)

2. 母豚の淘汰指標として直近 3 産の分娩データを用いた成績改善効果 (16:05~16:25)

NOSAI 宮崎 辻 厚史[豚臨研]

3. IPVS2024 レポート (16:25~16:45)

㈲サミットベテリナリーサービス 石井 宏治[JASV]

閉 会 (16:45~16:55)

講演要旨

○ 統一テーマ「豚熱」
1. 野生イノシシにおける豚熱サーベイランスの概要と疫学解析事例

早山 陽子(農研機構 動物衛生研究部門)

2018 年 9 月、国内で 26 年ぶりに豚熱の発生が確認され、豚熱の感染は飼養豚のみならず、野生イノシシにも広がった。野生イノシシ集団内での感染のコントロールは難しく、イノシシでの感染は拡大・継続し、現在では東北地方から九州北部にかけて感染が確認されている。豚熱の発生以降、死亡した個体や捕獲された個体の検体を用いたイノシシのサーベイランスが全国的に行われている。本講演では、現在行われているイノシシの豚熱サーベイランスの概要を報告し、感染状況や免疫保有状況の地理的・時間的なトレンドを紹介する。また、イノシシにおける豚熱の疫学解析事例として、感染イノシシから飼養豚への感染リスクの推定や豚熱ウイルスのフルゲノム解析による伝播経路の推定等について紹介する。

2. クロバエによる豚熱ウイルスの伝播リスク評価

小笠原 悠(栃木県県央家畜保健衛生所)

近年、国内の養豚農場において、甚大な被害をもたらしてきた豚熱は、野生の豚熱感染イノシシが感染源であることが知られているものの、イノシシからどのようにして農場の豚にウイルスが持ち込まれているかという感染経路はいまだ解明されていない。一方で、PRRS ウイルスや豚サーコウイルスといった豚の病原体においてハエの伝播を指摘する報告があるほか、鶏においても野生のオオクロバエから高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された報告もあり、ハエは伝染病の媒介者として注目されてきた。
今回、ハエによる豚熱ウイルス(CSFV)の伝播リスクを評価すべく、①野生のハエにおける CSFV保有状況調査、②ハエ体内における CSFV 保有期間調査、③農場におけるハエの分布調査を実施したところ、クロバエが豚熱の感染経路になりうる知見が得られたので、その概要を報告する。

3. 豚熱ウイルス E2 抗原によるブースター効果の検証

原田 ひかる(㈱微生物化学研究所)

豚熱対策の一つとして、母豚および子豚に対する生ワクチン接種が行われているが、豚熱ウイルスに対する免疫がない状態で生ワクチンを接種した第1世代の母豚と比較して、第 2 世代以降の母豚の抗体価は幅広く分布し、またその値が低い個体の割合が多いことが判明している。これにより子豚の移行抗体価にもばらつきが発生し、生ワクチン接種適期が揃わず、ウイルスに対して易感染となる期間が生じやすいことが考えられる。そこで、母豚の抗体分布のばらつきを解消し、生ワクチンの本来の効果を補助するために、豚熱生ワクチン接種済の豚に豚熱ウイルス国内流行株由来の E2 抗原を追加接種することによるブースター効果について検証した。

4. 豚熱発生農場の近隣農場における緊急対応と防疫指導の実例

石関 史哉(グローバルピッグファーム㈱)

2018 年 9 月、岐阜県で 26 年ぶりに豚熱が発生し、2023 年 8 月 30 日には九州で初めての発生が佐賀県で確認され、その翌日には続発が報告された。当時、九州は豚熱ワクチン未接種エリアであったため、すべての豚が感染リスクにさらされていた。また、野生イノシシへの感染がすでに拡大している可能性があり、農場でのさらなる豚熱続発が想定された。この状況を受け、弊社では防疫対策チームを立ち上げ、佐賀県にある弊社グループの複数の農場へ獣医師を派遣し、緊急対応を行った。今回は、防疫対策チームによる対応の詳細と、私が担当した農場での防疫指導の実例を紹介する。さらに、移動制限区域内の農場に対して実施した地域防疫勉強会の概要についても報告する。

5. HogStop の紹介と今後の日本での可能性

呉 克昌(㈱バリューファーム・コンサルティング)

HogStop はアメリカで開発され、2021 年 6 月からテキサス州などで販売されている家畜の飼料に一般的に含まれる原料を混合した野生豚の避妊用ベイト剤である。その有効成分は綿実油で、雄の野生豚の生殖能力を低下させる作用があるとされている。(一社)日本養豚開業獣医師協会(JASV)は本製品が国内の野生イノシシの個体数制御のツールとして利用可能性があると考え、その販売会社と守秘義務契約を結び、情報を収集し、国内の関係者に提供してきた。ここでは、本製品の概要を説明するとともに、国内での利用可能性を検討するための研究の必要性や今後の国内での可能性について検討する。

○ 一般口演
1. 新規豚丹毒生ワクチンと抗体検査法の開発について

西川 明芳(農研機構 動物衛生研究部門)

一般的に、細菌感染症に対する安全な生ワクチンの開発のためには、原因菌の病原遺伝子を同定しこれを除去するか、当該遺伝子に変異を導入することで弱毒化させる。しかし、病原遺伝子の同定には多大な労力を要する。我々は豚丹毒の原因菌である豚丹毒菌がゲノム収縮を起こしている点に着目し、ゲノム上に保存されているアミノ酸の合成遺伝子は本菌の生存や病原性に重要であるという仮説の基に実験を行った。その結果、短期間で病原遺伝子の同定とワクチン候補株の作製に成功した。本成果は、一部のアミノ酸合成遺伝子を欠く豚丹毒菌以外の細菌にも応用が期待できるのでその内容と、抗豚丹毒抗体検出 ELISA に使用する新規抗原の開発について紹介する。

2. 母豚の淘汰指標として直近 3 産の分娩データを用いた成績改善効果

辻 厚史(NOSAI 宮崎 生産獣医療センター)

養豚において生産性向上を図るためには、母豚群全体を繁殖性の高い群構成にすることが求められ、適切な母豚の淘汰更新は不可欠である。育種改良による多産系母豚の能力を生かすために、離乳頭数が多い母豚群に導く客観的な淘汰指標が必要である。本研究では母豚の淘汰基準として、哺育開始頭数と離乳頭数の 2 項目について、母豚ごとに直近 3 産の合計頭数を算出し、下位 10~20%となる頭数を淘汰基準とした。2 項目の数値のどちらかが基準に満たない母豚を優先的に淘汰更新したところ、1 年間で哺育開始頭数、離乳頭数ともに 0.4~0.9 頭向上した。直近 3 産の分娩データ 2 項目の合計を用いた淘汰基準は、簡便かつ確実に離乳頭数が向上する方法と考えられた。

3. IPVS2024 レポート

石井 宏治(㈲サミットベテリナリーサービス)

2024 年 6 月 4~7 日までの 4 日間、ドイツ・ライプツィヒのライプツィヒ会議センター(CongressCenter Leipzig)において、第 27 回世界養豚獣医学会(International Pig Veterinary Society :IPVS)と第 15 回 欧州養豚健康管理シンポジウム(European Symposium of Porcine HealthManagement:ESPHM)の合同集会が開催された。IPVS は、世界の養豚獣医師間の情交流を目的として、1967 年イギリスのケンブリッジで初めて開催され、ESPHM は、欧州の健康的で福祉的な養豚生産の発展および養豚従事者の能力向上を目的に活動している欧州養豚健康管理協会が 2009年から主催している。COVID-19 の影響で開催できなかった 2020 年を除いて、IPVS は 2 年ごと、ESPHM は毎年開催されており、両会が合同で開催されるのは今回が初めての試みであった。弊社か
らも 5 人の獣医師が参加し、新しい知見や疾病防御に対する意識の持ち方など、多くの成果を得たため、ここに概要を報告する。

【別紙】参加登録要領
■第 14 回合同集会 参加登録サイト
●会場参加・懇親会参加
登録期限:10 月 17 日(木)
https://forms.gle/FCvQ16XjZnbZ8WRQ8

●Web 参加
下記 URL よりご自身にてご登録をお願い申し上げます。
https://x.gd/hpx1J

■ご登録にあたっての注意事項
① 会場参加・懇親会参加の場合、「参加登録サイト」へのご登録完了後、事務局より数日
以内にご登録確認メールを送信いたします
② 懇親会参加ご希望の方は、①の登録確認メールに記載された口座へ、参加費(8,800 円
/1 名様)を期限内にお振込みください(※振込手数料はご負担ください)
やむを得ずキャンセルの場合も返金はいたしかねます
振込期限:10 月 24 日(木)
なお、「参加登録サイト」より領収書ご希望の旨ご登録いただいた方は、当日、会場に
てお渡しいたします
懇親会会場 つくば国際会議場 大会議室 101
茨城県つくば市竹園 2-20-3
③ Web 参加の場合、登録終了後ご指定のメールアドレスに自動送信される、登録完了メ
ールをご確認ください。届かない場合は、JASV 事務局までお問い合わせください。開
催前日、当日開始1時間前にリマインドメールが届きます。
④ 複数名でお申込みの際も、おひとりずつご登録が必要です
■お問い合わせ先
【第 14 回合同集会について】
一般社団法人日本養豚開業獣医師協会(JASV) 事務局
メールアドレス:pig.jasv@r7.dion.ne.jp
電話:029-875-9090
【日本豚病研究会入会について】
日本豚病研究会 事務局
(国研)農研機構 動物衛生研究部門内 日本豚病研究会 事務局
メールアドレス:tonbyou@ml.affrc.go.jp

国際シンポジウム「アフリカ豚熱の最前線」開催をお知らせします

令和6年10月17日と18日に農研機構が主催する国際シンポジウム「アフリカ豚熱の最前線」がつくば国際会議場にて開催されます。

詳細は農研機構のウェブサイトに掲載されておりますので、ご確認ください。

国際シンポジウム ーアフリカ豚熱研究の最前線ーThe Cutting Edge of African Swine Fever Research Symposium(2024年10月開催)
https://www.naro.go.jp/event/list/2024/09/165707.html

参加を希望される方は上記の農研機構ウェブサイトの6.参加申し込みの「参加登録フォーム」からご登録ください。

参加登録の受付期間は 「9/13(金)9:00 ~ 10/7(月)12:00」、定員は「各日150名」となっておりますので、参加をご希望の方は早めのご登録をお願いいたします。