⽇本豚病研究会事務局(農研機構動物衛⽣研究部⾨内)
Tel/Fax: 029-838-7745
e-mail: tonbyou@ml.affrc.go.jp
⽇本豚病研究会は、令和6 年度定期総会および第104 回研究集会春の研究集会を下記要で開催しますのでご案内致します。
記
⽇ 時:令和6年5⽉17⽇(⾦)13:00〜17:00
場 所: ⽂部科学省研究交流センター
〒305-0032 茨城県つくば市⽵園2-20-5
駐⾞場は敷地内北側にあります。
参加費: 会員無料、⾮会員は1,500円
⽇ 程
1 開 会 令和6年度定期総会(13:00〜13:30)
2 第25回⽇本豚病研究会藤﨑優次郎賞受賞記念講演(13:30〜14:10)
座⻑:⽮原 芳博[⽇本養豚事業協同組合]
養豚管理獣医師としての地域防疫構築への取組
志賀 明 (シガスワインクリニック)
[休 憩 14:10〜14:20]
3 ⼀般⼝演(14:20〜14:45)
座⻑:⾼⽊ 道浩 [農研機構 動物衛⽣研究部⾨]
ウイルス含有エアロゾルの液相捕集によるPRRSV とPCV2 の流⾏動態評価
安浦 雅⼈ (産業技術総合研究所 エレクトロニクス・製造領域)
[休 憩 14:45〜14:50]
4 特別講演 アフリカ豚熱の研究と対策(14:50〜16:50)
座⻑:⾇甚 賢太郎 [農研機構 動物衛⽣研究部⾨]
4.1 アフリカ豚熱ワクチンの開発研究について
北村 知也(農研機構 動物衛⽣研究部⾨ 越境性感染症研究領域)
4.2 海外ASF ワクチン事情
國保 健浩(農研機構 動物衛⽣研究部⾨ 越境性感染症研究領域)
座⻑:深井 克彦 [農研機構 動物衛⽣研究部⾨]
4.3 欧州におけるASF 対策について
⼤快 峻輝(農林⽔産省 消費・安全局 動物衛⽣課)
4.4 アフターコロナにおける⽔際検疫の実態
栗栖 輝光(農林⽔産省 動物検疫所 検疫部管理指導課)
5 閉 会(16:50〜17:00)
【研究集会終了後、懇親会を予定しております】
時 間: 令和6年5⽉17⽇(⾦)18:00~20:00
場 所: 三浦飲⾷堂
〒305-0031 茨城県つくば市吾妻1丁⽬5
会費:7,000円
参加登録:5⽉13⽇(月)までに下記にてお申し込みください。(先着60名)
お名前及びご所属をtonbyouken@gmail.comに送信
講演要旨
● 第25回⽇本豚病研究会 藤﨑優次郞賞 受賞記念講演
養豚管理獣医師としての地域防疫構築への取組
志賀 明(シガスワインクリニック)
筆者の養豚管理獣医師として活動は45年余の歳⽉が経過した。この間、豚⾚痢や豚流⾏性下痢、オーエスキー病など種々の伝染病に悩まされてきたが、これまでの養豚管理獣医師⽣活の中で⼀番⼤きな出来事は2010年の⼝蹄疫発⽣である。筆者の主要活動地域である宮崎県児湯地域での発⽣で、その地域にある全顧客農場が感染後またはワクチン接種後に殺処分された。今回は⼝蹄疫発⽣後の約2か⽉間、多くの仲間の⺠間獣医師とともに殺処分などの防疫措置に加わった経緯やその中で⽬の当たりにした状況や諸問題、また終息後の発⽣地域での復興への道筋や地域の⽣産者、関係獣医師、⾏政などとの地域ぐるみの防疫体制構築の推進などについて報告する。
● ⼀般⼝演
ウイルス含有エアロゾルの液相捕集によるPRRSV とPCV2 の流⾏動態評価
安浦 雅⼈(産業技術総合研究所 エレクトロニクス・製造領域)
ウイルス感染症の流⾏動態の把握は切実な問題であるが、集団から⼀部個体を抜き取って検査する場合、確率的な⾒逃しは避けられない。そこで本研究では、サイクロン式捕集器によるバイオエアロゾルの液相捕集法を⽤いて、豚舎内に漂うウイルス含有エアロゾルを捕集・検出し、流⾏動態評価への適⽤を試みた。PRRSV感染が確認された農場で5つの豚群を対象に5か⽉間の追跡調査を⾏い、PCRによるPRRSVとPCV2のウイルス核酸検出の陽性率を、抜き取り検査での⾎中ウイルス陽性率と⽐較した。その結果、共通の傾向が確認され、我々が提案する流⾏動態評価法が、抜き取り検査と同等(またはそれ以上)に有効であることを確認できた。
● 特別講演
アフリカ豚熱研究について
北村 知也(農研機構 動物衛⽣研究部⾨ 越境性感染症研究領域)
アフリカ豚熱(ASF)はアフリカ豚熱ウイルス(ASFV)を原因とする豚やイノシシの熱性感染症である。近年、ASFVは⽇本、台湾およびスリランカを除くすべてのアジア諸国に浸淫している。本年には、我が国にもっとも隣接する韓国・釜⼭の野⽣イノシシにおいてASF発⽣の続発が認められるなど我が国へのASF侵⼊リスクは増加の⼀途を辿っており、その防疫対策は喫緊の課題となっている。⽬下に迫るASFに対抗すべく、我々はASFワクチンの開発を進めている。本発表では、我々のASFワクチンの開発研究の取り組みを海外のASFワクチン開発の現状と課題を交えながら紹介する。
海外ASF ワクチン事情
國保 健浩(農研機構 動物衛⽣研究部⾨ 越境性感染症研究領域)
アフリカ豚熱(ASF)はASFウイルス(ASFV)によるイノシシ科動物の熱性感染症である。
Sus属の所謂豚やいのししが罹患すると激しい症状を呈して短期間に致死的な転帰をとることから、養豚業界では最⼤の脅威と⾒做されている。研究者の⻑年の努⼒にも拘わらず、本病に有効なワクチンはこれまで実⽤に⾄っていないが、近年のASFの⼤規模な流⾏に推され現在世界では苛烈な開発競争が繰り広げられており、その中から⽶国農務省が開発した2種のワクチンがベトナム国で野外利⽤を許可されたことは記憶に新しい。本講演ではこれら“第⼀世代”のワクチン製品を中⼼に、世界でのASFワクチンの開発状況を概観するとともに、実⽤・普及に向けた課題について議論したい。
欧州におけるASF 対策について
⼤快 峻輝(農林⽔産省 消費・安全局 動物衛⽣課)
欧州では、アフリカ豚熱(ASF)が2007 年にジョージアに侵⼊して以降、現在までに27 の国と地域に拡⼤している。ASF の侵⼊・拡⼤を受け、欧州各国はそれぞれリスク管理措置を講じており、これらの経験は未発⽣国である⽇本にとっても参考となるものと考えられる。本題では、EU におけるASF 対策について、EU 全体の枠組みに加え、野⽣イノシシの管理が効果的に講じられているものと考えられるハンガリーや清浄化を達成したベルギーを始めとするいくつかのEU加盟国がそれぞれ独⾃に講じている措置についても紹介する。
アフターコロナにおける⽔際検疫の実態
栗栖 輝光(農林⽔産省 動物検疫所 検疫部管理指導課)
新型コロナウイルス感染症が5類に移⾏し、国境を越えたビジネス活動や観光が活発化しており、訪⽇外客数はコロナ前の対2019年⽐で約8割まで回復し、⼀部の国からの訪⽇客はコロナ前を⼤きく上回ってきている。このような海外からの旅客の増加、また、アジア地域、特に韓国釜⼭広域市で野⽣いのししにおけるアフリカ豚熱の発⽣等を受け、動物検疫所では増頭した検疫探知⽝の有効活⽤や違反者への厳格な対応の他、航空会社の協⼒による機内アナウンスの実施やSNS等のインターネットメディアを通じた広報・注意喚起など、⽇本に違法な畜産物を持ってこさせない取り組みを加えた⽔際対応の強化を⾏っている。今回は、アフターコロナにおけるこれら⽔際の最前線である空海港にスポットを当てつつ検疫の実態について紹介する。