第100回日本豚病研究会 研究集会開催のお知らせ(終了しました)

日本豚病研究会事務局(動物衛生研究部門内)
Tel/Fax: 029-838-7745
e-mail: tonbyou@ml.affrc.go.jp

日本豚病研究会は定期総会と第100回研究集会を下記要領で開催しますのでご案内致します。
なお、今回は研究集会参加にあたり事前登録が必要です(5月10日締切5月18日まで延長のでご留意願います。

1.定期総会

令和 4年 5月23日~6月6日まで日本豚病研究会ホームページ(https://tonbyo.com/wp/)の会員専用ページに総会議案書を掲載する形式にて開催いたします。

2.第100回研究集会

日 時  : 令和 4年 5月20日(金) 13:00~17:00

場 所  :文部科学省研究交流センター(〒305-0032 茨城県つくば市竹園2-20-5)

開催方法 :現地参加(定員制限あり)またはオンライン配信(定員500名)

参加費     :会員は無料、非会員は1500円

参加方法 :会員・非会員ともに事前登録制(5/10締切)

*参加登録はこちらから→第100回研究集会参加登録

*新規入会者はこちらから会員登録した後、参加登録してください。

*非会員で参加希望の方は参加登録後、5月15日まで5月18日までに参加費をお振込みください。振込情報はこちら→参加費の振込

*ご登録後、5月18日までに連絡がない場合事務局にご連絡ください。



日程

〇 開会挨拶 (13:00~13:10)          日本豚病研究会 会長  津田 知幸

 

〇 一般講演 テーマ 「薬剤耐性(AMR)の対策と現状」

                 座長 勝田 賢 [農研機構 動物衛生研究部門]

1.薬剤耐性対策アクションプランの取組と成果、今後の課題について
農林水産省 消費・安全局 畜水産安全管理課 福永 陽子、川西 路子
(13:10~13:50)

2.豚由来病原性大腸菌の薬剤耐性
農研機構 動物衛生研究部門 楠本 正博
(14:00~14:50)

座長 小林 創太 [農研機構 動物衛生研究部門]

3.抗菌剤の使用及び使用中止が豚由来大腸菌の耐性率へ与える影響の解明
農研機構 動物衛生研究部門 玉村 雪乃
(15:00~15:40)

4.養豚場の汚水処理過程における抗菌剤や薬剤耐性菌の残存実態と動態
農研機構 動物衛生研究部門 渡部 真文、グルゲ キールティ シリ
(15:50~16:30)

〇 閉 会(16:30~17:00)


講演要旨

薬剤耐性対策アクションプランの取組と成果、今後の課題について
福永 陽子、川西 路子(農林水産省 消費・安全局 畜水産安全管理課)

 “抗菌剤が効かない薬剤耐性菌”の対策はワンヘルスのアプローチで取り組むべき課題の一つであり、我が国では、平成28年4月に関係閣僚会議において策定された「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(以下「アクションプラン」という。)」に基づき、関係省庁、関係機関等が対策を進めているところです。アクションプランは、①普及啓発・教育、②動向調査・監視、③感染予防・管理、④抗菌剤等の適正使用、⑤研究開発・創薬、⑥国際協力の各分野について、それぞれ目標と戦略、具体的な取組を記載しています。今回、これまでアクションプランに基づき実施した主な取組と成果、今後の課題について養豚分野を中心に紹介致します。

豚由来病原性大腸菌の薬剤耐性
楠本正博(農研機構 動物衛生研究部門)

抗菌剤が効かない薬剤耐性菌のまん延が世界中で進行している。国内で流通する抗菌剤の約6割は動物に使用され、中でも使用量が最も多い豚は薬剤耐性菌の発生や拡散に関して重要な家畜と考えられている。また、病原性大腸菌は豚の疾病(下痢、浮腫病、敗血症など)の重要な原因菌であるが、近年の研究により、健康豚由来大腸菌(非病原性大腸菌)に比べて多剤耐性傾向にあることが知られている。本講演では、1991年から2019年にかけて国内で豚から分離された病原性大腸菌について、O群血清型、遺伝学的系統、病原遺伝子保有状況、薬剤感受性などを調査した結果について紹介する。一部の菌群は高度な多剤耐性を示すことから、農場における浸潤状況に注意する必要がある。

抗菌剤の使用及び使用中止が豚由来大腸菌の耐性率へ与える影響の解明
玉村 雪乃(農研機構・動物衛生研究部門)

近年、薬剤耐性菌が世界的に問題となっており、獣医畜産領域においてもその対策が喫緊の課題となっている。薬剤耐性菌は抗菌剤存在下において出現して選択されると考えられていることから、薬剤耐性菌対策として抗菌剤の使用量低減が有効とされている。しかしながら、農場における抗菌剤使用状況と薬剤耐性菌分布率との関連性については十分に解明されていない。我々は国内の10カ所の養豚場を訪問し、抗菌剤使用状況及び薬剤耐性菌分布状況を調査し、それらの関連について解析した。さらにこのうち2カ所の農場で一部の抗菌剤の使用を中止し、薬剤耐性菌分布状況の変化を観察した。これらの調査により得られた知見を紹介したい。

養豚場の汚水処理過程における抗菌剤や薬剤耐性菌の残存実態と動態
渡部真文、グルゲ キールティ シリ(農研機構・動物衛生研究部門)

 ワンヘルスアプローチによる薬剤耐性問題への対応では、家畜排泄物及びその処理物経由での抗菌剤や薬剤耐性菌の環境負荷低減が求められている。特に、抗菌剤の使用量から養豚業への注目は高く、中でも、他の畜種に比べ発生量の大きい汚水の処理は関心を集めているが、国内での調査・研究例は限られている。このようなことから、演者らの研究グループは、農水省RS事業「動物用抗菌剤の使用によるリスクを低減するための研究」(2017~2021年度, JP J008617.17935699)において、養豚場の汚水処理過程における抗菌剤と薬剤耐性大腸菌の残存実態や動態を解明してきた。本講演では、その成果を紹介する。