第103回日本豚病研究会・2023年度日本豚病臨床研究会 令和5年度日本養豚開業獣医師協会 第13回合同集会のお知らせ(終了しました)

日本豚病研究会、日本豚病臨床研究会、日本養豚開業獣医師協会は、第13回合同集会を下記の通り開催いたします。なお、ご参加にあたっては最終ページの「【別紙】参加登録要領」をご確認のうえ、2023年10月5日(木)までに事前登録をお願いいたします。

日時: 2023年10月13日(金) 10:00~17:00
9:30より受付

場所: つくば国際会議場 中ホール300
茨城県つくば市竹園2-20-3

開催形式: 集合形式およびオンラインウェビナー形式

参加資格: いずれかの団体の会員であること(賛助会員を含む)
但し、非会員の方は、日本豚病研究会の会員へご登録いただくことにより参加可能です。詳細は「参加登録サイト」にてご確認ください。

定員: 現地参加 300名(先着順)
オンライン参加 定員なし

参 加 費: 集会 無料
懇親会 8,000円(希望者)

締切: 2023年10月5日(木)

*新型コロナウイルス感染症の発生状況により、オンライン開催のみへ
変更する場合があります

以上

 

 

日 程

開 会    (10:00~10:05)

〇 統一テーマ「豚熱」   (10:05~15:10)

 座長:舛甚 賢太郎(農研機構 動物衛生研究部門)

1. 現在の流行豚熱ウイルスの感染・発症防御に必要な移行抗体価の検証
農研機構 動物衛生研究部門 深井 克彦[豚病研]
(10:05~10:45)

2. 野生イノシシにおける豚熱・アフリカ豚熱対策の現状と課題
農林水産省 消費・安全局 動物衛生課 永田 知史[豚病研]
(10:45~11:25)

座長:伊藤 貢(㈲あかばね動物クリニック)

3. CSFワクチン接種後の免疫の推移とPRRS感染による免疫付与抑制について
香川家畜診療所 香川 光生[JASV]
(11:25~12:05)

[昼休み(各自昼食をお取りください)12:05~13:30]

座長:伊藤 貢(㈲あかばね動物クリニック)

4. 豚熱(CSF)生マーカーワクチンを使用している韓国の状況について
Jeong Hyunkyu(Dodram養豚農協)[豚臨研]
(13:30~14:10)

座長:芝原 友幸(農研機構 動物衛生研究部門)

伊藤 貢(㈲あかばね動物クリニック)

5.総合討論 (14:10~15:10)

[休憩 15:10~15:25]

〇 一般口演 (15:25~16:55)

座長:下地 善弘(農研機構 動物衛生研究部門)

1. 獣医学教育改革と獣医師の将来 (15:25~15:55)
NPO法人 獣医学教育支援機構 高井 伸二[豚病研]

座長:石井 宏治(㈲サミットベテリナリーサービス)

2. 投薬指示による抗菌剤使用と慢性疾病へのアプローチ (15:55~16:25)
宮崎県農業共済組合 遠矢 良平[豚臨研]

3. APVS2023レポート (16:25~16:55)
㈱スワイン・エクステンション&コンサルティング 大竹 聡[JASV]

閉 会 (16:55~17:00)

講演要旨

○ 統一テーマ「豚熱」
1. 現在の流行豚熱ウイルスの感染・発症防御に必要な移行抗体価の検証
深井 克彦(農研機構 動物衛生研究部門)

2018年9月にわが国で26年ぶりに発生した豚熱に対する防疫対策の一環として、2019年10月から飼養豚へGPE-生ワクチンが接種されている。当該ワクチンは、子豚の移行抗体価が高い時期に接種すると、ワクチンブレイクが起こる。一方、移行抗体価が十分に下がった時期にワクチンを接種した場合、ワクチン効果が発揮されるまでの期間、子豚は野外ウイルスの感染リスクに曝される。そのため、移行抗体がワクチン効果を阻害せず、かつ子豚が野外ウイルスの感染リスクから守られることが期待出来る時期にワクチンを接種することが望ましい。そこで今回、様々な移行抗体価を保有した子豚を用いて、現在の流行豚熱ウイルスの感染・発症防御に必要な移行抗体価を検証したので、その概要を報告する。なお、本検証の概要は、本年6月30日にウェブ会議にて報告したが、その後さらに検証を進めたので、今回は新たに得られた検証成績を中心に報告する。

2. 野生イノシシにおける豚熱・アフリカ豚熱対策の現状と課題
永田 知史(農林水産省 消費・安全局 動物衛生課)

平成30年9月、我が国で26年ぶりに豚熱が飼養豚で発生し、野生イノシシでも感染が確認された。その後、野生イノシシで感染が拡大し、これは飼養豚での発生リスクと大きく関連しているとされる。このため、野生イノシシ対策が極めて重要となっている。また、我が国への侵入リスクが極めて高まっているアフリカ豚熱は、水際対策の強化とともに、国内侵入に備えた対策が求められている。
本講演では、野生イノシシ対策として、①サーベイランス、②捕獲強化、③豚熱経口ワクチンの散布及び④関係者・市民への周知を主とするリスクコミュニケーションの推進、さらに現在進めている⑤アフリカ豚熱の防疫対策の具体化について、現状と課題を述べる。

3. CSFワクチン接種後の免疫の推移とPRRS感染による免疫付与抑制について
香川 光生(香川家畜診療所)

2019年にCSFワクチン接種がスタートして、現在に至るまで接種が継続されているが、初回接種においては全く免疫を持っていない真っ白な豚にワクチンを接種しているため、接種後の抗体陽性率は100%に近い状態に転じた。その後、ワクチン接種した母豚から子豚が生まれ、移行抗体を享受された子豚にワクチンを接種していったが、接種時の移行抗体量に応じて、免疫付与状況にばらつきが目立つようになった。そのため子豚への適正なワクチン接種時期を把握するために、群馬県及び埼玉県の13養豚農場を対象に、同じ個体を継続的にモニタリングし、ワクチン接種後の抗体推移調査を実施した。
その中でワクチン接種はしっかり実施しているにも関わらず、ワクチン抗体上昇が極めて悪い農場があった。抗体上昇の悪かった農場では豚繁殖呼吸障害症候群(PRRS)の感染も認められたことから、PRRSの感染状況がワクチン接種後の免疫付与にどのように作用するか、各農場を比較することで考察することにした。

4. 豚熱(CSF)生マーカーワクチンを使用している韓国の状況について
Jeong Hyunkyu(Dodrum養豚農協)

韓国では、従来CSFウイルスLOM株を用いた弱毒生ワクチンが使用されてきたが、2010年から韓国国内でマーカーワクチンの研究開発を進め、実用化に至っている。2020年からは、このCSF生マーカーワクチンが国内で販売開始され、豚への接種が始まった。また野生イノシシでのCSF感染拡大を防ぐ目的で、イノシシ用のCSF経口生マーカーワクチンも開発され、やはり2020年から使用が始まっている。世界に先駆けてCSF生マーカーワクチンを使用している韓国において、直近のCSFの感染状況やマーカーワクチンの効果等について報告する。
○ 一般口演

1. 獣医学教育改革と獣医師の将来
高井 伸二(NPO法人 獣医学教育支援機構)

「国際水準の獣医学教育の提供」と「高度な実践力を備えた獣医師の養成」を目標として纏めた文部科学省「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」報告書(平成23年)には、具体的な5つの改革の方針、①教育研究体制整備、②モデルコアカリキュラム、③分野別第三者評価、④共用試験と参加型臨床実習、⑤附属家畜病院の改善が期限付きで提示された。その後10年間で共同教育課程・共同学部の設置、モデルコアカリキュラム・共通テキスト、共用試験と参加型実習等が具現化されている。教育改革と獣医師の需給を振り返り、我が国の人口縮小社会における獣医師の将来について考察したい。

2. 投薬指示による抗菌剤使用と慢性疾病へのアプローチ
遠矢 良平(宮崎県農業共済組合)

日本の養豚分野は抗菌剤使用の割合が高い。ワンヘルスの視点を持ち薬剤耐性問題を考慮した獣医療が求められている。宮崎県の臨床現場で実施している「投薬指示による経口投与」は9割を占めるが、これを整理すると、まずは獣医師が「群治療(Metaphylaxis)」と「予防(Prophylaxis)」を区別することが重要かもしれない。その上で、生産者の投薬アドヒアランスを下げる可能性がある「慢性疾病」の発症要因を生産者と協議し、投薬の継続性について検討した。結果として一貫経営8農場で抗菌剤使用が減少し、生産性も向上した。今回は母豚規模300頭以下での検証であり、今後は従業員の多い大規模農場での対応が課題となる。

3. APVS2023レポート
大竹 聡(㈱スワイン・エクステンション&コンサルティング)

7月30日~8月2日の5日間にわたり、第10回アジア養豚獣医学会(APVS2023)が台湾・台北市にて開催された。台湾での開催は当初2021年に予定されていたが、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延を受け一旦延期が決定され、今年2023年開催に延期されていた。今回はアジアを中心とした37の国と地域から1,173名が参加し、アジア各国における養豚疾病、最新の飼養管理システムなどに関する知見を共有し、活発な議論が行われた。本口演ではその概要を報告する。

 

【別紙】参加登録要領

第13回合同集会 参加登録サイト  https://questant.jp/q/20231013
登録期限:10月5日(木)

■ご登録にあたっての注意事項
① 「参加登録サイト」へのご登録完了後、「【自動配信】三団体合同集会「参加ご登録控え」および「懇親会参加費振込先ご案内」」が順次送信されます

② 懇親会参加ご希望の方は、①の自動配信メールへ記載された口座へ、参加費(8,000円/1名様)を期限内にお振込みください(※振込手数料はご負担ください)
やむを得ずキャンセルの場合も返金はいたしかねます
振込期限:10月6日(金)

なお、「参加登録サイト」より領収書ご希望の旨ご登録いただいた方は、当日、会場にてお渡しいたします

懇親会会場 ホテル日航つくば 昴東中の間(18時より)
つくば市吾妻1-1364-1
https://www.nikko-tsukuba.com/access/

③ ウェビナーのURLは10月10日(火)頃ご案内予定です

④ 複数名でお申込みの際も、おひとりずつご登録が必要です

■お問い合わせ先
【第13回合同集会について】
日本豚病臨床研究会 事務局
明治アニマルヘルス(株)内 ※必ず2名とも宛先へお含みください
永末 nagasue-ma@vet.meiji.com
高宮 takamiya-ru@vet.meiji.com

【日本豚病研究会入会について】
日本豚病研究会 事務局
(国研)農研機構 動物衛生研究部門内 日本豚病研究会事務局
tonbyou@ml.affrc.go.jp