第105回日本豚病研究会・2024年度日本豚病臨床研究会・ 令和6年度日本養豚開業獣医師協会 第14回合同集会のお知らせ(終了しました)

日本豚病研究会、日本豚病臨床研究会、日本養豚開業獣医師協会は、第 14 回合同集会を
下記の通り開催いたします。なお、ご参加にあたっては「【別紙】参加登録要領」をご確認のうえ、2024 年 10 月 17 日(木)までに事前登録をお願いいたします。

日 時: 2024 年 10 月 25 日(金) 10:00~17:00
9:30 より受付
場 所: つくば国際会議場 多目的ホール
茨城県つくば市竹園 2-20-3
開催形式: 集合形式およびオンラインウェビナー形式
参加資格: いずれかの団体の会員であること(賛助会員を含む)
但し、非会員の方は、日本豚病研究会の会員へご登録いただくことにより参加可能です。詳細は「参加登録サイト」にてご確認ください。
定 員: 現地参加 300 名(先着順)
オンライン参加 定員なし
参 加 費: 集会 無料
懇親会 8,800 円(希望者)
締 切: 2024 年 10 月 17 日(木)

以上

日 程

開 会(10:00~10:05)
〇 統一テーマ「豚熱」(10:05~15:10)

座長:深井 克彦(農研機構 動物衛生研究部門)

1. 野生イノシシにおける豚熱サーベイランスの概要と疫学解析事例 (10:05~10:45)

農研機構 動物衛生研究部門 早山 陽子[豚病研]

2. クロバエによる豚熱ウイルスの伝播リスク評価 (10:45~11:25)

栃木県県央家畜保健衛生所 小笠原 悠[豚病研]

座長:小池 郁子(エス・エム・シー㈱)

3. 豚熱ウイルス E2 抗原によるブースター効果の検証(11:25~12:05)

㈱微生物化学研究所 原田 ひかる[JASV]

[昼休み(各自昼食をお取りください)12:05~13:30]

座長:小池 郁子(エス・エム・シー㈱)

4. 豚熱発生農場の近隣農場における緊急対応と防疫指導の実例 (13:30~14:10)

グローバルピッグファーム㈱ 石関 史哉[豚臨研]

5. HogStop の紹介と今後の日本での可能性(14:10~14:50)

㈱バリューファーム・コンサルティング 呉 克昌[JASV]

座長:深井 克彦(農研機構 動物衛生研究部門)

座長:小池 郁子(エス・エム・シー㈱)

6.総合討論 (14:50~15:35)

[休憩 15:35~15:45]

〇 一般口演 (15:45~16:45)

座長:新井 暢夫(農研機構 動物衛生研究部門)

1. 新規豚丹毒生ワクチンと抗体検査法の開発について (15:45~16:05)

農研機構 動物衛生研究部門 西川 明芳[豚病研]

座長:石川 弘道(㈲サミットベテリナリーサービス)

2. 母豚の淘汰指標として直近 3 産の分娩データを用いた成績改善効果 (16:05~16:25)

NOSAI 宮崎 辻 厚史[豚臨研]

3. IPVS2024 レポート (16:25~16:45)

㈲サミットベテリナリーサービス 石井 宏治[JASV]

閉 会 (16:45~16:55)

講演要旨

○ 統一テーマ「豚熱」
1. 野生イノシシにおける豚熱サーベイランスの概要と疫学解析事例

早山 陽子(農研機構 動物衛生研究部門)

2018 年 9 月、国内で 26 年ぶりに豚熱の発生が確認され、豚熱の感染は飼養豚のみならず、野生イノシシにも広がった。野生イノシシ集団内での感染のコントロールは難しく、イノシシでの感染は拡大・継続し、現在では東北地方から九州北部にかけて感染が確認されている。豚熱の発生以降、死亡した個体や捕獲された個体の検体を用いたイノシシのサーベイランスが全国的に行われている。本講演では、現在行われているイノシシの豚熱サーベイランスの概要を報告し、感染状況や免疫保有状況の地理的・時間的なトレンドを紹介する。また、イノシシにおける豚熱の疫学解析事例として、感染イノシシから飼養豚への感染リスクの推定や豚熱ウイルスのフルゲノム解析による伝播経路の推定等について紹介する。

2. クロバエによる豚熱ウイルスの伝播リスク評価

小笠原 悠(栃木県県央家畜保健衛生所)

近年、国内の養豚農場において、甚大な被害をもたらしてきた豚熱は、野生の豚熱感染イノシシが感染源であることが知られているものの、イノシシからどのようにして農場の豚にウイルスが持ち込まれているかという感染経路はいまだ解明されていない。一方で、PRRS ウイルスや豚サーコウイルスといった豚の病原体においてハエの伝播を指摘する報告があるほか、鶏においても野生のオオクロバエから高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された報告もあり、ハエは伝染病の媒介者として注目されてきた。
今回、ハエによる豚熱ウイルス(CSFV)の伝播リスクを評価すべく、①野生のハエにおける CSFV保有状況調査、②ハエ体内における CSFV 保有期間調査、③農場におけるハエの分布調査を実施したところ、クロバエが豚熱の感染経路になりうる知見が得られたので、その概要を報告する。

3. 豚熱ウイルス E2 抗原によるブースター効果の検証

原田 ひかる(㈱微生物化学研究所)

豚熱対策の一つとして、母豚および子豚に対する生ワクチン接種が行われているが、豚熱ウイルスに対する免疫がない状態で生ワクチンを接種した第1世代の母豚と比較して、第 2 世代以降の母豚の抗体価は幅広く分布し、またその値が低い個体の割合が多いことが判明している。これにより子豚の移行抗体価にもばらつきが発生し、生ワクチン接種適期が揃わず、ウイルスに対して易感染となる期間が生じやすいことが考えられる。そこで、母豚の抗体分布のばらつきを解消し、生ワクチンの本来の効果を補助するために、豚熱生ワクチン接種済の豚に豚熱ウイルス国内流行株由来の E2 抗原を追加接種することによるブースター効果について検証した。

4. 豚熱発生農場の近隣農場における緊急対応と防疫指導の実例

石関 史哉(グローバルピッグファーム㈱)

2018 年 9 月、岐阜県で 26 年ぶりに豚熱が発生し、2023 年 8 月 30 日には九州で初めての発生が佐賀県で確認され、その翌日には続発が報告された。当時、九州は豚熱ワクチン未接種エリアであったため、すべての豚が感染リスクにさらされていた。また、野生イノシシへの感染がすでに拡大している可能性があり、農場でのさらなる豚熱続発が想定された。この状況を受け、弊社では防疫対策チームを立ち上げ、佐賀県にある弊社グループの複数の農場へ獣医師を派遣し、緊急対応を行った。今回は、防疫対策チームによる対応の詳細と、私が担当した農場での防疫指導の実例を紹介する。さらに、移動制限区域内の農場に対して実施した地域防疫勉強会の概要についても報告する。

5. HogStop の紹介と今後の日本での可能性

呉 克昌(㈱バリューファーム・コンサルティング)

HogStop はアメリカで開発され、2021 年 6 月からテキサス州などで販売されている家畜の飼料に一般的に含まれる原料を混合した野生豚の避妊用ベイト剤である。その有効成分は綿実油で、雄の野生豚の生殖能力を低下させる作用があるとされている。(一社)日本養豚開業獣医師協会(JASV)は本製品が国内の野生イノシシの個体数制御のツールとして利用可能性があると考え、その販売会社と守秘義務契約を結び、情報を収集し、国内の関係者に提供してきた。ここでは、本製品の概要を説明するとともに、国内での利用可能性を検討するための研究の必要性や今後の国内での可能性について検討する。

○ 一般口演
1. 新規豚丹毒生ワクチンと抗体検査法の開発について

西川 明芳(農研機構 動物衛生研究部門)

一般的に、細菌感染症に対する安全な生ワクチンの開発のためには、原因菌の病原遺伝子を同定しこれを除去するか、当該遺伝子に変異を導入することで弱毒化させる。しかし、病原遺伝子の同定には多大な労力を要する。我々は豚丹毒の原因菌である豚丹毒菌がゲノム収縮を起こしている点に着目し、ゲノム上に保存されているアミノ酸の合成遺伝子は本菌の生存や病原性に重要であるという仮説の基に実験を行った。その結果、短期間で病原遺伝子の同定とワクチン候補株の作製に成功した。本成果は、一部のアミノ酸合成遺伝子を欠く豚丹毒菌以外の細菌にも応用が期待できるのでその内容と、抗豚丹毒抗体検出 ELISA に使用する新規抗原の開発について紹介する。

2. 母豚の淘汰指標として直近 3 産の分娩データを用いた成績改善効果

辻 厚史(NOSAI 宮崎 生産獣医療センター)

養豚において生産性向上を図るためには、母豚群全体を繁殖性の高い群構成にすることが求められ、適切な母豚の淘汰更新は不可欠である。育種改良による多産系母豚の能力を生かすために、離乳頭数が多い母豚群に導く客観的な淘汰指標が必要である。本研究では母豚の淘汰基準として、哺育開始頭数と離乳頭数の 2 項目について、母豚ごとに直近 3 産の合計頭数を算出し、下位 10~20%となる頭数を淘汰基準とした。2 項目の数値のどちらかが基準に満たない母豚を優先的に淘汰更新したところ、1 年間で哺育開始頭数、離乳頭数ともに 0.4~0.9 頭向上した。直近 3 産の分娩データ 2 項目の合計を用いた淘汰基準は、簡便かつ確実に離乳頭数が向上する方法と考えられた。

3. IPVS2024 レポート

石井 宏治(㈲サミットベテリナリーサービス)

2024 年 6 月 4~7 日までの 4 日間、ドイツ・ライプツィヒのライプツィヒ会議センター(CongressCenter Leipzig)において、第 27 回世界養豚獣医学会(International Pig Veterinary Society :IPVS)と第 15 回 欧州養豚健康管理シンポジウム(European Symposium of Porcine HealthManagement:ESPHM)の合同集会が開催された。IPVS は、世界の養豚獣医師間の情交流を目的として、1967 年イギリスのケンブリッジで初めて開催され、ESPHM は、欧州の健康的で福祉的な養豚生産の発展および養豚従事者の能力向上を目的に活動している欧州養豚健康管理協会が 2009年から主催している。COVID-19 の影響で開催できなかった 2020 年を除いて、IPVS は 2 年ごと、ESPHM は毎年開催されており、両会が合同で開催されるのは今回が初めての試みであった。弊社か
らも 5 人の獣医師が参加し、新しい知見や疾病防御に対する意識の持ち方など、多くの成果を得たため、ここに概要を報告する。

【別紙】参加登録要領
■第 14 回合同集会 参加登録サイト
●会場参加・懇親会参加
登録期限:10 月 17 日(木)
https://forms.gle/FCvQ16XjZnbZ8WRQ8

●Web 参加
下記 URL よりご自身にてご登録をお願い申し上げます。
https://x.gd/hpx1J

■ご登録にあたっての注意事項
① 会場参加・懇親会参加の場合、「参加登録サイト」へのご登録完了後、事務局より数日
以内にご登録確認メールを送信いたします
② 懇親会参加ご希望の方は、①の登録確認メールに記載された口座へ、参加費(8,800 円
/1 名様)を期限内にお振込みください(※振込手数料はご負担ください)
やむを得ずキャンセルの場合も返金はいたしかねます
振込期限:10 月 24 日(木)
なお、「参加登録サイト」より領収書ご希望の旨ご登録いただいた方は、当日、会場に
てお渡しいたします
懇親会会場 つくば国際会議場 大会議室 101
茨城県つくば市竹園 2-20-3
③ Web 参加の場合、登録終了後ご指定のメールアドレスに自動送信される、登録完了メ
ールをご確認ください。届かない場合は、JASV 事務局までお問い合わせください。開
催前日、当日開始1時間前にリマインドメールが届きます。
④ 複数名でお申込みの際も、おひとりずつご登録が必要です
■お問い合わせ先
【第 14 回合同集会について】
一般社団法人日本養豚開業獣医師協会(JASV) 事務局
メールアドレス:pig.jasv@r7.dion.ne.jp
電話:029-875-9090
【日本豚病研究会入会について】
日本豚病研究会 事務局
(国研)農研機構 動物衛生研究部門内 日本豚病研究会 事務局
メールアドレス:tonbyou@ml.affrc.go.jp