第85回日本豚病研究会・平成26年度日本豚病臨床研究会・ 平成26年度日本養豚開業獣医師協会 第5回合同集会(事務局:日本養豚開業獣医師協会)は終了いたしました。

日本豚病研究会、日本豚病臨床研究会、日本養豚開業獣医師協会第5回合同集会(事務局:日本養豚開業獣医師協会)を下記の要領で開催いたしました。

日 時: 平成26年10月10日(金) 10:00~17:20 (受付9:15~)
場 所: 明治ホールディングス株式会社 本社ビル 地下1階講堂
〒104-0031 東京都中央区京橋二丁目4番16号
Tel 03-3273-3430

日 程
開 会(10:00~10:05)
統一テーマ「PEDの現状と対策、今後の課題」(10:05~17:10)
座長:下地善弘(動物衛生研究所)

1 豚流行性下痢(PED)の病性と対策 (10:05~10:45)

動物衛生研究所 津田知幸 [豚病研]

豚流行性下痢(PED)はPEDウイルスに感染による豚の急性下痢を主徴とする伝染病で、清浄農場では10日齢以下の幼若豚が脱水によって高率に死亡し、大きな経済的被害をもたらす。伝染性胃腸炎(TGE)や他の原因による下痢とも病性が似ることから、迅速な鑑別診断が必要である。感染豚から排泄されたウイルスが、直接あるいは間接的に豚に経口感染する。ウイルスは小腸の絨毛上皮細胞に障害を与え結果的に下痢が起こるが、成豚では症状を示さないことが多い。本病には農場バイオセキュリティの強化が最も有効であり、ウイルスを含む豚の排泄物や器具、車両、周辺環境の消毒(特に消毒薬を十分に浸透させることが必須)と哺乳豚の損耗防止が対策の中心となる。

2 1990年代と2013-2014年のPEDの発生背景と状況 (10:45~11:25)
宮崎大学 末吉益雄[豚臨研]

国内のPEDのアウトブレイクとして、まず、1996年に9道県、102戸、約8万頭発症、約4万頭死亡があった。母豚と新生子豚の嘔吐・下痢および妊娠豚の泌乳低下・停止があり、死亡は主に新生子豚であった。当時、PEDは監視伝染病ではなく、ワクチンはなかった。診断は免疫組織化学法(IHC)と中和試験でされた。類症鑑別としてTGE、PRVがあった。一方、2013-2014年に過去の国内流行株とは異なる新型のPEDV株により、38道県、816戸、約120万頭発症、約37万頭死亡のアウトブレイクが起きた。届出伝染病として対応され、生ワクチンは市販されていた。診断にはIHC、中和試験、PCR法が用いられた。侵入・拡大経路など疫学調査中である。背景の疾病としてTGE、PRV、SDCVがあげられる。

3 アメリカにおけるPEDの現状と対策 (11:25~12:25)
カテージ・ベテリナリー・サービス ジョセフ・F・コナー
通訳:㈱バリューファーム・コンサルティング 呉 克昌[JASV]

2013年にアメリカ養豚史上初めての侵入が確認されたPEDウイルスは、2012年中国分離株と99.46%の相同性が確認されている。また、2013年後半には遺伝的に異なる第2のPEDウイルス、2014年初めにはデルタコロナウイルスも分離された。これら3つのウイルスはいずれも高い哺乳中事故率、母豚への顕著な臨床症状を引き起こすコロナウイルス属である。アメリカでは、これらに対抗する方法として、アメリカ農務省(USDA)、民間研究機関、生産者が協力し、国を挙げた疫学調査、撲滅に向けた研究が行われている。今回は、これまでアメリカでの研究において明らかになった3つのコロナウイルスについて、また現状のコロナウイルス対策、今後の展望について報告する。

[昼休み (日本豚病研究会 幹事会) 12:25~14:00]

座長:志賀明((有)シガスワインクリニック)・矢原芳博(日清丸紅飼料(株)総合研究所)
4 近年の豚流行性下痢(PED)の流行とその特徴 (14:00~14:30)
動物衛生研究所 山川 睦、宮崎綾子、鈴木 亨、大橋誠一[豚病研]

豚流行性下痢(PED)は1970年代から欧州や中国で流行が確認されており、国内でも1980年代前半から発生していたが、散発的であったため、これまで大きな問題となることは少なかった。しかし、2010年以降、中国を中心としたアジア地域で本病による被害が拡大し、2013年には米国での初発が報告され、国内でも1996年以来の大規模な発生を見るに至り国際的に注目が集まるようになった。今回、国際獣疫事務局本部で開催されたPEDに関する専門家会議(Meeting of the OIE Ad hoc group on PED)の討議内容や、現在動物衛生研究所で進めている調査研究など、PEDを取り巻く最近の情勢について紹介したい。

5 我が国で発生した豚流行性下痢(PED)に関する疫学調査について (14:30~14:50)
農林水産省 消費・安全局 動物衛生課 川田良浩[豚病研]

平成25年10月以降、我が国では38道県、815件のPEDの発生が確認されている(平成26年8月11日現在)。
農林水産省では、発生道県と連携し、農研機構 動物衛生研究所及び関係団体等の協力を得て、我が国へのPEDウイルスの侵入要因と感染拡大要因の解明のための疫学調査を実施してきた。
PEDウイルスの侵入要因については、ウイルスの由来、既発生国からの生体豚の輸入実績・豚血しょうたんぱくの輸入実績及び畜産関係器具・機材の輸入実績等について分析を行い、国内での感染拡大要因については、発生農場ごとに農場への生体豚や人の出入り、それらに付随する車両や物の動き等についての分析を行った。

6 農場現場における科学的根拠に基づいたPED対策 (14:50~15:10)
㈱スワイン・エクステンション&コンサルティング 大竹 聡[JASV]

現在のアメリカおよび日本における豚流行性下痢(PED)のアウトブレイクは、豚価に影響を及ぼすほど深刻な問題となっている。本発表を通じて、農場現場のおける科学的根拠に基づいたPED対策の重要性を説く。
PEDの伝搬経路
PEDリスクを想定した農場バイオセキュリティ
PED発生時の善後策
PEDワクチンの位置づけ
産官学の取り組みの重要性

7 PED侵入農場における継続的調査報告 (15:10~15:30)
エス・エム・シー㈱ 小池郁子[JASV]

2014年4月以降PED感染が確認された農場における、母豚、哺乳中、離乳後のPEDウイルス排泄量の変化、各個体での抗体価の違い、各豚舎床面やピットなど環境材料中のウイルスの有無、農場間での違いなどについて、発生直後から鎮静化状況となるまでに渡り、継続的な調査を行った。
また、昨年からのPED感染拡大以降の弊社における大腸菌、クロストリジウム、ロタウイルス、デルタコロナウイルスなど消化器感染症の状況を、過去の疾病状況と比較し、増加している疾病やその他特徴的な傾向などについて検討を加えたので、併せて報告する。

8 千葉県における豚流行性下痢(PED)の発生状況(養豚密集地帯での発生の特徴) (15:30~15:50)
㈱ピグレッツ 渡辺一夫[豚臨研]

千葉県では、平成26年3月?7月の間に111例のPED発生が報告された。発生頭数は152,973頭、死亡頭数は42,851頭であり、死亡は主に生後5日齢以内の哺乳豚であった。県北東部の養豚密集地帯において、4月9日に2,3例目が発生して以降、4週間で60例/111例(54.1%)を数える急激な広がりを見せた。この内、哺乳豚の発症は51例(85%)で見られた。千葉県の養豚密集地帯は、農場間の距離も近く、隣接農場へ次々と伝播した。本症に感受性が高く吐瀉物にPEDウイルスを大量に排泄する哺乳豚が短期間に多数発症したことが、この地域の感染圧力を飛躍的に高めた要因の一つと推察する。今回、このような養豚密集地域でのPED感染拡大の状況を臨床獣医師の観点から紹介したい。

9 PED発生時の管理獣医師の農場へのかかわり (15:50~16:10)
㈲アークベテリナリーサービス 武田浩輝[豚臨研]

平成26年5月20日東北地方の飼養母豚規模330頭の一貫生産農場において豚流行性下痢(PED)の発生を経験した。このPEDの発生に関し管理獣医師として、農場における対応について農場主と協議し、すべての対応に関しての委任を受け、農場内において陣頭指揮を執り、管内の家畜保健衛生所との連携、発症時の農場内における初動対応および発症後の管理指導、計画的自然感染(馴致)等を実施した。PED発症による哺乳子豚の死亡は10日間でほぼ終息し、PEDに関連すると思われる哺乳子豚の死亡は258頭、離乳後の死亡は46頭であった。6月13日以降PEDの症状および死亡が確認されず、6月26日に家畜保健衛生所より移動自粛の解除の通知を受けた。

[休憩 16:10~16:20]

10 総合討論 (16:20~17:10)

閉会(17:10~17:20)

〈お知らせ〉
・研究集会当日はこの抄録をご持参いただきますようお願い致します。
・研究集会終了後、懇親会 を予定しております。ふるってご参加ください。

懇親会について
時間:17:40~19:40
場所:アンジェリオン オ プラザ 東京 (合同集会会場のすぐ近くです。)
東京都中央区京橋3-7-1 相互館110タワー

http://tokyo.anjelion.jp/

会費:5,500円(会費は当日受付で申し受けます。)

参加人数把握のため、参加可能な方は、9月26日(金)までに、下記の連絡先にメールにてご連絡ください。
なお、当日でも人数に余裕があれば、参加をお受けします。

懇親会参加者連絡先:
一般社団法人日本養豚開業獣医師協会(JASV)事務局
e-mail: pig.jasv@r7.dion.ne.jp