第77回日本豚病研究会・平成22年度日本豚病臨床研究会・平成22年度日本養豚開業獣医師協会 合同集会は終了いたしました。

第77回日本豚病研究会・平成22年度日本豚病臨床研究会・
平成22年度日本養豚開業獣医師協会 合同集会を下記の要領で開催いたしました。
 

事務局:日本豚病研究会事務局(動物衛生研究所内)
Tel./Fax. : 029-838-7745
e-mail:tonbyou@ml.affrc.go.jp

日 時: 平成22年11月22日(月) 9:00~17:00
      
場 所: つくば国際会議場(エポカルつくば)大ホール [http://www.epochal.or.jp/access/index.html]
 〒茨城県つくば市竹園2-20-3  
 Tel. 029-861-0001 Fax. 029-861-1209
研究集会参加費:会員・学生は無料です (会員の年会費は1500円です)。
            非会員は1500円です(当日受付で参加費1500円を納入してください)。
           (非会員の方は事前申し込みなくても大丈夫です。) 
駐車場のご案内:
南4A駐車場 をご利用ください。研究会受付で、サービス券(1日券 609円、1時間券 135円)を販売します。駐車場を出るときにその券で精算してください。
日  程
開 会(9:00~9:15)
 
シンポジウム 2010年 宮崎で発生した口蹄疫について(9:15~10:45)
  座長:吉田和生・深井克彦(動衛研)

口蹄疫発生に伴う諸問題と再建への取組みについて

志賀 明((有)シガスワインクリニック)

4月20日に宮崎県児湯郡都農町で発生報告された口蹄疫は、隣町の川南町を中心に4市6町で約29万頭もの多くの殺処分を余儀なくされた。殺処分や消毒等に加え、初めての口蹄疫ワクチンの使用等の懸命な防疫措置によって初発生報告から4ヵ月余後の8月27日に終息宣言が出された。今回の口蹄疫は宮崎県中部の有数の畜産密集地域での発生で、また国内初の豚での発生もあり、感染が爆発的に広がり、被害は甚大なものとなった。一方、初動防疫や殺処分体制、防疫措置等において様々な問題点が浮き彫りになった。今回、発生の状況や防疫措置の諸問題、また感染爆発の要因等を考察するとともに、牛と豚が1頭もいなくなった児湯地域の地域ぐるみでの養豚の再建への取り組み等についてその概要を報告する。 

宮崎県で発生した口蹄疫発生状況を追って
廣瀬和彦(明治製菓(株))

2010年4月20日に宮崎県で発生した口蹄疫の発生拡大状況を日々農場毎、畜種別に地図上にスポット・マップにてプロットし、更に気象庁による風速・風向情報も書き加えた資料について紹介する。日々の発生状況に影響する要因についてそれら資料を元に現地滞在中に意見交換したことや更にGoogle Map(写真)を拡大印刷し、そこにもスポット・マップにて発生農場をプロットし、地形の影響についても検討を試みた。スポット・マップは「疫学の父」と呼ばれるジョン・スノウ(1813~1858)が用いた古くからの方法であるが、全体の動きを知るには非常に有効な方法であった。

渦中からみた防疫業務–教訓として活かすために                                                             
                                                                             末吉益雄(宮崎大学)                                                                               

今回の口蹄疫防疫対策業務では、当学本部、県本部、新富町本部、家保での病性鑑定班、発生地での患畜殺処分班、農水の疫学調査班および堆肥モニタリング班に身を置き活動した。8月27日の終息宣言後も、動物慰霊祭、各種報告会、防疫演習などに参加した。それらの渦中からみて、今回の防疫経験を教訓として活かすためには省庁間連携(農水、厚労、防衛、警察、国運、文科など)、獣医組織連携(県、NOSAI、開業、大学、獣医師会など)、畜産・獣医連携(JA、商系)、牛・豚飼育連携などの組織力の強化が必要と考えられた。現在、眼前の現地産業復興、発生地周辺の家畜診療業務の防疫などについて活動している。

[休憩 10:45~11:00]
ワークショップ1  養豚におけるアニマルウェルフェア(11:00~12:05)
 座長:佐藤真澄(動衛研)

アニマルウェルフェアの考え方に対応した豚の飼養管理指針について

菅谷公平(農林水産省生産局畜産振興課)

 欧州においては、1960年代に、密飼い等の近代的な畜産のあり方についてその問題点が提起され、英国で提唱された「5つの自由」を中心に“Animal Welfare”の概念が普及し、現在ではEU指令として、“Animal Welfare”に基づく飼養管理の方法等が規定されている。また、国際獣疫事務局(OIE)においても、アニマルウェルフェアに関する基準(ガイドライン)の検討が始まり、2005年には輸送やと畜に関するガイドラインが策定され、現在、畜舎や飼養管理に関するガイドラインの検討が進められている。
 一方で、我が国において、経済のグローバル化による輸入畜産物の増加に対応しつつ、消費者のニーズに合った安全・安心な国産畜産物を供給することにより、今後とも畜産が安定的に発展していくためには、家畜の生産性の向上を図っていくことが重要な課題である。家畜の管理を行う上で、アニマルウェルフェアに対応し、家畜を快適な環境で飼うことは、家畜が健康であることによる安全・安心な畜産物の生産につながり、また、家畜の持っている能力を最大限に発揮することにより、生産性の向上にも結びつくものと考えられる。 
 本発表では、海外のアニマルウェルフェアをめぐる状況とともに、我が国においてとりまとめられた「アニマルウェルフェアの考え方に対応した豚の飼養管理指針」の概要について報告する。

豚のストレスと異常行動について―尾かじり被害低減について―  
渡邊哲夫1、沼野井憲一1、塚原均2、青山真人3

(1.栃木県畜産試験場、2.栃木県畜産振興課、3.宇都宮大学) 

 豚の異常行動の一つに、同居豚の尾をかじる尾かじり行動がある。この行動はストレスによって起こるとされている。尾かじりが起こると、発育遅延や、噛み傷から侵入した細菌等による感染症の発生など、養豚経営に対し悪影響を及ぼす。
 今回の研究はストレスを低減するような飼養管理法を確立することを目的としている。その中で、まずはストレスと関連があるとされている尾かじり行動に着目し、尾かじりの被害を低減する方法について検討を行った。

豚の非侵襲的ストレスマーカーの確立を目指して                                                                  
宗田吉広((独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所)

 昨年3月に、(社)畜術協会により、「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」が示された。この指針では「アニマルウェルフェア」を「快適性に配慮した家畜の飼養管理」と定義しており、家畜への不要なストレスを避け、家畜を快適な環境下で飼養することが求められるため、家畜のストレスを科学的かつ定量的に評価する手法の開発や確立が望まれる。そこで、我々は豚における非侵襲的なストレス測定法の開発およびそのストレスマーカーの開発を目指し、豚の急性ストレスである拘束ストレスをモデルとして、唾液中のサイトカイン等についてストレスマーカーとしての有用性の検討を行った。また現在、農研機構・交付金プロジェクト研究「健全性・収益性両立型養豚のための技術開発」で行っている研究課題についてもその概要を紹介する。

[昼休み(幹事会) 12:05~13:30]
ワークショップ2 豚コクシジウム症と新たな薬剤(13:30~14:15)
   座長:末吉益雄(宮崎大)

豚コクシジウム症総論
志村亀夫((独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所)

 豚を終宿主(固有宿主)として寄生するコクシジウムには、Eimeria属、Isospora属およびCryptosporidium属のものがあり、中間宿主とするものにトキソプラズマ、ネオスポラ、サルコシスティスがある。従来、豚を終宿主とするコクシジウムの病原性については、様々な議論があったが、近年その中のIsospora suis感染による哺乳豚の下痢症が問題となってきた。わが国でも1970年代には既に発生の報告があり、その後散発的に症例が報告されてきた。しかし、本感染症は、オオシストが糞便中に出現する以前に感染豚が死亡することあり、診断が難しいことから養豚現場では本病への関心が低かった。最近、本病に対して有効な薬剤が発売され、現場においてその重要性が認識されるようになった。ここでは、I. suis感染症を中心に豚のコクシジウム症について解説する。 

新しく承認された薬剤の野外評価
島田隆男(千葉県農業共済組合連合会北部家畜診療所)

哺乳豚のIsospora suisによるコクシジウム病に対するトルトラズリルの有効性を野外で検討した。I.suisの重度浸潤が認められた3養豚場、計15頭の母豚から出生した0~5日齢の哺乳豚153頭を同腹単位で1対1の割合で2群に分け、投薬群は試験薬剤トルトラズリルを20㎎/㎏単回強制経口投与した。無処置群では67.7%が発症したのに対して、投薬群では発症は認められなかった。異常便の排泄頻度は、投薬群で27.1%、無処置群で82.4%と処置群が有意(p<0.05)に低かった。投薬後7~14日の1日平均増体量は投与群229.87±63.45g、対照群195.16±77.02gで群間に有意差(p<0.05)が認められた。以上の結果から、哺乳豚にトルトラズリルを20mg/kg単回経口投与することは、投与後2週間にわたりコクシジウム病の発生の防御に有効であることが示された。                                                          

ワークショップ3  生産衛生管理の高度化(14:15~14:55)
座長:石川弘道(サミットベテリナリーサービス)

2009年JASVベンチマーキング結果
伊藤 貢((有)あかばね動物クリニック)

JASVでは、2004年から正会員のコンサルタント先の生産データを元に毎年集計事業を実施している。2009年の、平均母豚飼養頭数は534頭(中間値265頭)、平均枝肉単価378円、平均飼料単価は45.0円、平均FCRは3.38、平均年間出荷頭数は20.6頭、ワクチンと抗生物質費は1,597円、離乳後事故率6.6%であった。 
 一方、PRRS陰性農場の成績は、平均出荷頭数は23.0 頭、ワクチン衛生費は808円、事故率は5.1%で、PRRSウイルスによる被害が、大きいことが再確認された。 
 この事業は、6年目を迎え、多くのデータが集積されてきている。今年は、宮崎での口蹄疫の影響を受けて、参加農場が減ったが、今後も継続することにより、日本の養豚の現状と変化を把握できるような指標となるよう、今後も事業に進めて行きたい。

養豚場における農場HACCPの取り組み                                    
 古市朋大((有)豊浦獣医科クリニック)

食の安全・安心に対する国民の関心が高まり、農林水産省は「農場生産衛生管理技術等向上対策事業」において農場HACCP認証基準の策定やHACCPを活用した衛生管理の普及・啓発を行っている。フードチェーンの最初の段階である生産現場(養豚場)での生産物(豚肉)の安全性確保のため、農場HACCPでは生産者自らがHACCP方式を活用した衛生管理に取り組む事で豚肉の危害を管理し予防する。演者らは数年前から農場HACCPの前提条件でもある健康な豚を育てるための一般的衛生管理プログラムの構築と、HACCP導入を同時進行で整備してきている。多くの養豚場が農場HACCPに取り組み易いようにソフト面の整備とPDCAサイクルによる発展型を特徴とした取り組みをしているので、その概要を紹介する。

                                                                                   
 [休 憩 14:55~15:10]
ワークショップ4 細菌による常在性疾病の現状(15:10~16:10)

座長:中村高志(豊浦獣医科クリニック)

北東北で確認された豚丹毒について
岡村雄司(おかむらアニマルクリニック)

豚丹毒は以前、多くの農場ではワクチン接種が実施されておりほぼ制圧されていた疾病であったが、近年はワクチン非接種農場の増加により散発的に確認されるようになっていた。平成21年後半から22年前半にかけて、当方が巡回する北東北の養豚場やその周辺農場において豚丹毒の発生が集中し、ワクチン接種の再開、ワクチンの種類の変更(生から不活化)、接種方法の変更(接種日齢・接種部位)、飼養環境の適正化等により一応の終息を見た。
 現在の農場の豚丹毒に対する考え方や対策方法が十分でない部分も多く見られ、これらの認識不足が発生増加の一因にもなっていると考えられるので、臨床獣医師による啓蒙活動も重要になってくると考えられる。
 今回は4農場で発生した豚丹毒の発生要因、実際に実施した対応方法、対策中に確認された問題点についてまとめたので報告する。

肥育農場におけるサルモネラ コレラスイスの発生と生産成績および生産コストの変化
吉川康宏(グローバルピッグファーム(株)福島農場)

サルモネラ症は長年、豚の消化管と人の食中毒への関与する疾病として、養豚現場を悩ませ続けている。
最近では、豚サーコウイルス2型(PCV2)ワクチンの普及により、呼吸器疾病は減少しているが、消化管疾病は増加しており養豚現場での重要疾病となっている。
 本報告では、母豚1200頭規模の肥育農場に発生したサルモネラ コレラスイス症の発生から終息までを、生産成績の変化・細菌および抗体検査・各種対策としてまとめた。更に経済損失額の算出を行い、対策費用対効果および生産コストの変化を中心に報告する。
クライアント養豚場におけるApp15型による豚胸膜肺炎の発生例
渡辺一夫((株)ピグレッツ)

千葉県内のクライアント農場において、豚胸膜肺炎(APP)の罹患豚からApp15型が検出された。2008年App発生8農場のうち10件、2009年12農場のうち2件、2010年(1-6月)7農場のうち5件のApp15型が検出された。症状は活力低下、食欲不振、40℃~41℃の発熱、被毛粗造および肺炎呼吸を呈し、急性ないし慢性の経過をとった。剖検所見は肺に境界明瞭な暗赤色の膨隆・硬化した出血部とその周囲の小葉間水腫が顕著で、免疫染色でAppの抗原が検出された。分離App15型株は多剤感受性であり、特にABPC、XNL、NFLXおよびFPに高い感受性を示し、抗生物質の治療効果は高く、本症の対策は早期発見・早期治療が有効であった。

ワークショップ5 ウイルスによる常在性疾病の現状(16:10~16:50)
座長:恒光 裕(動衛研)
肥育期の豚サーコウイルス関連疾病(PCVAD)症例

江口 修(JAあいち経済連畜産部養豚担当)
豚サ―コウイルス関連疾病(PCVAD)は、一般に離乳後2~4カ月齢の子豚でみられる疾病であるが、出荷直前の肉豚でのPCVAD症例を発表する。2009年末に母豚500頭一貫農場の肉豚舎で出荷直前の肉豚の斃死が多いことから病性鑑定を実施した。リンパ節の腫大、胃潰瘍および胃出血、肺炎、肝炎などの解剖所見および臓器からの遺伝子検出からPCVADと診断した。またサーコ不活化ワクチンを母子ともに取り入れている農場であることから、原因を調査したところ、ワクチン接種の方法や従業員への教育などが表面化され、その対策後、死亡数減少の改善があった。

PRRS抗体保有状況の推移-日本でのPRRS浸潤状況はどう変化したか-

矢原芳博(日清丸紅飼料(株) 総合研究所 検査グループ)

豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)は、この20年以上の間、世界の養豚業界において特別な疾病として存在し続けている。
ここ数年は、豚サーコウイルス2型(PCV2)ワクチンの上市により、豚呼吸器病症候群(PRDC)の影響は軽減されつつあるが、現時点においてもPRRSのコントロールが養豚生産のコスト低減における最重要課題である事には変わりない。
 当研究所では1993年より間接蛍光抗体法(IFA)、1998年より固相酵素抗体法(ELISA)により抗体検査を実施しているが、今回は抗体検査開始時より現在までの抗体調査成績の推移をまとめた。この間の抗体陽性率の動向、PCV2ワクチン接種による離乳後事故率低減の前後での抗体保有状況の推移について報告する。

   閉 会(16:50~17:00)

〈お知らせ〉

・研究集会終了後、懇親会 を予定しております。ふるってご参加ください。

懇親会について 時 間: 18:00~20:00  
          場 所: ホテルグランド東雲 本館有明の間 
          会 費: 5000円 
参加人数把握のため、参加可能な方は、下記どちらかへメールでご連絡ください。  11月10日(水)までにお願い致します。
参加者連絡先: ベネット 中村節子 venet@nifty.com  あるいは   日本豚病研究会事務局 tonbyou@ml.affrc.go.jp
 
尚、参加は当日も受け付けております。