第73回日本豚病研究会研究集会は終了いたしました。

第73回日本豚病研究会研究集会は下記の要領で開催いたしました。

日本豚病研究会事務局
(動物衛生研究所内)
tel./fax. : 029-838-7745

陽春の候,会員の皆様には益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて,春の研究集会を下記の要領で開催しますのでご案内いたします。
尚、開始時間は12:00となっています。

日 時: 平成20年5月16日(金) 12:00~17:00
場 所: 文部科学省研究交流センター
 (つくば市竹園2丁目20-5)
 [交通案内 (研究交流センター)
  ※敷地内北側に駐車場があります]
 tel. 029-851-1331
1. 定期総会 (12:00~12:15)
2. 第15回藤崎優次郎賞授賞式、受賞記念講演 (12:20~13:00)
 
(座長)志賀 明

受賞記念講演
養豚コンサルタント 山下哲生
3. 演 題
(座長)鈴木孝子

千葉県における豚サーコウイルス2型感染症 (13:00~13:25)
千葉県中央家畜保健衛生所 佐藤岳彦
 平成17年秋頃より、県内養豚密集地域において事故率が30%を超える農場が増加している。1農場で病性鑑定を実施した結果、2頭からPCV2 Group1の遺伝子を検出した。Group1は近年北米において甚大な被害が報告されており、浸潤状況を調査するためPCV2が関与し事故率が上昇していると思われた16農場で病性鑑定を実施した。その結果、9農場でGroup1を検出した。病理学的検査において、Group1を検出した個体の肺では、他のPCV2遺伝子型よりも多くのPCV2抗原が認められた。千葉県では、平成20年度から豚の慢性疾病対策を目的とする各種事業を実施予定である。これらの事業や病性鑑定結果からPCV2の対策を検討していきたい。

インゲルバック® サーコフレックスのドイツでの臨床試験 (13:25~13:50)
ベーリンガーインゲルハイムベトメディカジャパン株式会社 ○山口猛、宮下マリ
 豚サーコウイルス2型(PCV2)に対するワクチンであるインゲルバック®サーコフレックスのドイツでの臨床試験成績を報告する。試験を実施した農場はPRRS陽性農場で、試験開始前、呼吸器症状を中心としたPRDCにより多くの被害が見られていた。供試子豚は約3週齢の子豚で、ワクチン群754頭、対照群765頭の合計1,519頭を用いた。その結果、対照群と比べてワクチン群では増体重の改善、一日平均増体重の改善、発育不良豚の発生頻度の減少、臨床症状の減少及び死亡率の低下が見られた。同時にウイルス血症陽性率及び血中ウイルス量の低下が見られた。 以上のことから、インゲルバック®サーコフレックスはウイルス血症を有意に低下させることによりPCV2感染による種々の症状を低減することが分かった。

豚サーコウイルス2型(PCV2)に対する母豚ワクチネーションの概念とその有効性について (13:50~14:15)
メリアルジャパン株式会社 ○徳山桂理、古井丸広行、柴 成宏、松本 哲、杉山美樹、小野恵利子
 離乳後多臓器性発育不良症候群(PMWS)の発病機構に関しては未解明の点が多いが、①発病に大量のウイルスが必要、②PCV2は口・鼻・糞などへ排出される、③生後間もない段階から感染が始まる、などといった知見が知られている。また、十分な抗体があればある程度のPCV2感染防御が可能であり、移行抗体にもその効果があることが示されている。しかし、繁殖豚群のPCV2に対する抗体レベルは不安定であることが多いため、上述のすべての点を念頭においた場合、繁殖母豚へのワクチン接種はPCV2制御のツールのひとつとして有効であると思われる。事実、海外や国内で実施された繁殖豚群へのワクチン接種試験では、斃死率および増体に関して大幅で有意な改善が証明されているので、有効性や安全性、利便性の観点からも繁殖母豚ワクチンはPCV2対策に大きく貢献できるものと考えられる。

休憩 (14:15~14:30)
豚サーコウイルス不活化ワクチンの概要 (14:30~14:55)
株式会社インターベット ○種子野 章
 インターベット インターナショナル社(IVI)において開発された、豚サーコウイルス2型(PCV2)感染症に対するワクチンは、PCV2のORF2蛋白を発現する、組替えバキュロウイルスを主成分とする油性アジュバント加不活化サブユニットワクチンである。 日本においても2005年以降にPCV2の感染に起因すると思われる事故率の増加が認められ、予防対策としてのワクチンの開発・上市が強く要望されている。 今回は、IVIが実施したカナダでの野外試験及び第145回日本獣医学会学術集会で発表した安全性と有効性の成績について報告する。

Suvaxyn® PCV2 One Doseの海外における評価成績 (14:55~15:20)
Fort Dodge Animal Health Biological Research & Development 竹村 香里、Zhichang (Zach) Xu、Hsien-Jue (Steve) Chu
フォートダッジ株式会社 ○井上剛光、岸 雅恵
 Fort Dodge Animal Health社の単回投与PCV1 -2型キメラ不活化ワクチン、Suvaxyn® PCV2 One Doseは非病原性PCV1の基盤構造にPCV2の表面構造を組み込んだユニークなキメラ構造により、PCV2の免疫系刺激作用と非病原性PCV1の安全性との組み合わせ効果を発揮する。米国での4週齢子豚による有効性評価試験では、ワクチン投与群は非投与群と比較し、ウイルス血症、リンパ球減少、組織球の置換およびPCV2の免疫組織学的染色において有意な減少が認められた。免疫持続試験では、単回投与から最低4ヶ月はPCV2ウイルス血症の予防およびPCV2によるリンパ球減少の抑制が実証された。1,100頭の豚を使用して実施された米国野外安全性試験では、投与後2週間、局所および全身性反応いずれも全く認められず十分な安全性が確認された。

(座長) 石川弘道、恒光 裕

アメリカにおけるPCV2関連疾病(PCVAD)の状況とワクチンの効果 (15:20~16:20)
イリノイ州養豚専門開業獣医師 Joseph F. Connor
 以前は大きな問題となっていなかったPCV2関連疾病(PCVAD)が、アメリカでは2005年ごろから養豚密集地帯を中心に広がりを見せ、2006年には多くの養豚地帯で大きな被害を見せた。この広がりの原因について疫学的な知見やウイルス株の違いと病原性などについて説明する。さらに、アメリカの生産現場でのPCV2不活化ワクチンの接種の実情やその効果について詳述するとともに、ワクチン接種後の養豚衛生や養豚業界全体への影響を説明する。また、ワクチン接種の効果に影響を与える要素について言及することにより、その効果を最大限に発揮させるための要件を検討する。

総合討論 (16:20~16:45)
研究集会終了後の懇親会は予定していません。
一部タイトルを修正しました。(平成20年4月30日修正)