第92回日本豚病研究会研究集会

日 時: 平成30年5月25日(金) 13:00~17:00
場 所: 文部科学省研究交流センター(〒305-0032 茨城県つくば市竹園2-20-5)
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/kouryucenter/

日 程
1. 定期総会 (13:00~13:30)

2.  アフリカ豚コレラについて(13:40~15:20)
座長 山川 睦[農研機構 動物衛生研究部門]

 1)アフリカ豚コレラについて −東欧の現状と対策−(13:40~14:30)
    桝甚 賢太郎(農研機構 動物衛生研究部門)

 2)東欧流行株を用いたアフリカ豚コレラウイルス感染試験について(14:30~15:20)
    山田 学他(農研機構 動物衛生研究部門)

[休 憩 15:20~15:40]

3.  豚のサーコウイルスについて(15:40~16:20)
座長 川嶌 健司[農研機構 動物衛生研究部門]

1)近年の日本国内における豚サーコウイルス2型および3型の分子疫学調査(15:40~16:00)
林 志佳他 (一般財団法人日本生物科学研究所)

2)国内における豚サーコウイルス関連疾病(PCVAD)について(16:00~16:20)
高木 道浩他(農研機構 動物衛生研究部門)

4.一般口演 
座長 川嶌 健司[農研機構 動物衛生研究部門]

1)Genetic Characterization of Classical Swine Fever Viruses Isolated in the North Vietnam during 2014 – 2016(16:20~16:40)
Van Phan Le他(Vietnam National University of Agriculture)

5. 閉 会(16:40~17:00)

講演要旨
○アフリカ豚コレラについて

1)アフリカ豚コレラについて −東欧の現状と対策−
舛甚 賢太郎(農研機構 動物衛生研究部門) 
アフリカ豚コレラ(ASF)は、発熱および出血性病変を主徴とするウイルス性の豚疾病で、病原性の強さにより致死率が100%に達する。その名が示すようにアフリカに常在する疾病であるが、1950年代後半には欧州、中南米の国々に伝播し、甚大な被害をもたらした過去がある。2007年、黒海沿岸の国ジョージアでASFが摘発され、アフリカ以外の国への再侵入が確認された。その後、本病の拡散は自国内だけでは終息せず、ロシアおよび東欧諸国にまでまん延している。現在も発生地域は進行しており、アジア諸国、そして日本への侵入が懸念されている。そこで本講演では、ASFが流行しているロシアおよび東欧の現状とその対策について紹介したい。

2)東欧流行株を用いたアフリカ豚コレラウイルス感染試験について
山田学、舛腎賢太郎、亀山健一郎、山添麗子、西達也、森岡一樹、深井克彦、山川睦(農研機構 動物衛生研究部門)
アフリカ豚コレラは、アフリカ豚コレラウイルスによる豚やイノシシの発熱や全身の出血性病変を特徴とする致死率の高い伝染病である。本病は発症動物の家畜としての経済的価値を失わせ、長期にわたり畜産業の生産性を低下させる。また、発生地域における社会的活動や国内流通はもとより輸出入にも影響を与え、多大な社会的・経済的損失を生む。我が国ではこれまで本病の発生は確認されていないが、2007年以降、常在地であるアフリカから南コーカサスへ飛び火し、ロシア及び東欧諸国へと徐々に発生地域が拡大している。人や物の移動が活発化している現状にあって、アフリカ豚コレラ清浄国である我が国においても本病の侵入リスクは高まっている。今回、東欧の流行株を用いた豚への感染実験を実施し、本病の病態を確認したのでその概要を紹介する。

○豚のサーコウイルスについて
1)近年の日本国内における豚サーコウイルス2型および3型の分子疫学調査
林 志佳、佐藤哲朗(一般財団法人日本生物科学研究所)
豚サーコウイルス2型(PCV2)は、サーコウイルス関連疾病と総称される多様な病態を引き起こし、その遺伝子型はORF2の塩基配列によりa〜e型の5つに分類される。流行株の遺伝子型は世界的にも変化を繰り返しており、我々は第160回日本獣医学会学術集会において、遺伝子型PCV2dが国内で多数を占めることを報告した。一方、新しい豚サーコウイルスとして、豚サーコウイルス3型(PCV3)が、2016年以降に世界各地で報告されている。我々が国内の野外材料を検索したところ、2016年の野外材料からもその遺伝子が検出された。本発表では、PCV2およびPCV3の国内発生について、近年の当所で収集された病性鑑定材料を用いて議論したい。

2)国内における豚サーコウイルス関連疾病(PCVAD)について 
高木道浩1、羽入さち子2、奥村貴樹3、平島宜昌4(1農研機構動物衛生研究部門、2新潟県中央家畜保健衛生所、3愛知県中央家畜保健衛生所、4鹿児島県中央家畜保健衛生所)
PCV2はPMWS、PDNS、繁殖障害等の様々な病態を引き起こし、これらはPCVADと総称される。国内において1996年以降発生が拡がっていたが、2008年にワクチン接種が開始されて、その発生は減少していた。これまではPCV2aとPCV2bが主にPCVAD発生に関与していたが、近年、世界的にPCV2dの関与が報告されており、国内においてもPCV2dの浸潤が確認されている。また、2015年に北米でPCV3が関与するPDNS、繁殖障害等が確認され、ヨーロッパ、アジア、国内においてもPCV3の検出が報告された。今回、国内におけるPCV2dやPCV3の関与が疑われるPCVAD事例等について紹介する。

○一般口演
1)Genetic Characterization of Classical Swine Fever Viruses Isolated in the North Vietnam during 2014- 2016
Van Phan Le1, Nguyen Phuc Hung1, SeEun Choe2, Seong-In Lim2, Ra Mi Cha2, Bui Thi To Nga1, Dong-Jun An2, Nguyen Thi Lan1, Kenji Kawashima3(Vietnam National University of Agriculture, 2Animal and Plant Quarantine Agency, Republic of Korea; 3NIAH, NARO)
Classical swine fever (CSF) is a highly contagious systemic hemorrhagic viral disease of pigs. CSF is a devastating disease causing huge economic losses to the pig industry. Eleven classical swine fever viruses (CSFV) were identified on eight backyard pig farms in North Vietnam from 2014 to 2016. Phylogenetic analysis of the 5′NCR and complete E2 gene classified these viruses into groups 2.1b, -2.1c, and -2.2. Omega values for the complete nucleotide sequence of E2 of CSFV (group 2), assessed by positive Darwinian selection analysis, were 0.09129 using Vietnam CSFVs and 0.10847 using worldwide CSFVs (without Vietnam strains identified in this study). Positive selection sites on E2 proteins of Vietnam CSFVs were located at amino acid positions 20(P), 108(I), and 268(M). The circulating CSFVs in Vietnam mostly belong to group 2.1c, although some included in groups 2.1b and -2.2.

〈お知らせ〉
・研究集会終了後、懇親会 (当日受付) を予定しております。ふるってご参加ください。

懇親会について
時 間: 17:30~19:30
場 所: レストラン エスポワール(つくば国際会議場内); 研究集会会場より徒歩 約10分
 〒305-0032 茨城県つくば市竹園2-20-3  TEL:029-850-3266
 http://www.epochal.or.jp/floor_guide/food/index.html
会 費: 5,000円