日本豚病研究会事務局(農研機構動物衛生研究部門内)
Tel/Fax: 029-838-7745
e-mail: tonbyou@ml.affrc.go.jp
日本豚病研究会は春の研究集会を下記要領で開催します。
記
日 時: 平成29年5月26日(金) 13:00~17:00
場 所: 文部科学省研究交流センター(〒305-0032 茨城県つくば市竹園2-20-5) http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/kouryucenter/
参加方法:
事前登録は不要です。当日会場で受付してください。
参加費 会員;無料 非会員;1,500円
日 程
1. 定期総会 (13:00~13:30)
2. 第21回日本豚病研究会藤﨑優次郎賞受賞記念講演(13:40~14:45)
座長 大石英司((株)微生物化学研究所)
農研機構 動物衛生研究部門 下地善弘 先生
座長 石関紗代子((有)サミットベテリナリーサービス)
農研機構 食農ビジネスセンター 山根逸郎 先生
[休 憩 14:45~15:00]
3. 特別講演(15:00~16:15)
座長 下地善弘(農研機構 動物衛生研究部門)
豚の抗病性育種に向けたゲノム情報の活用
農研機構 生物機能利用研究部門 上西博英 先生
4. DNAマーカーの品種改良への活用(16:15~16:55)
座長 川嶌健司(農研機構 動物衛生研究部門)
1) DNAマーカーを用いた育種改良研究について(16:15~16:35)
藤村達也(日本ハム㈱中央研究所)
2) 豚TLR5の一塩基多型(C1205T)がサルモネラ感染に及ぼす影響の検証(16:35~16:55)
宗田吉広(農研機構 動物衛生研究部門)
5. 閉 会(16:55~17:00)
<懇親会のお知らせ>
研究集会終了後、懇親会(当日受付)を予定しております。ふるってご参加ください。
時 間:17:30~18:30
場 所:レストラン エスポワール(つくば国際会議場内)研究集会会場より徒歩 約10分
〒305-0032 茨城県つくば市竹園2-20-3 TEL:029-850-3266
会 費:5,000円
講演要旨
【特別講演】
豚の抗病性育種に向けたゲノム情報の活用
上西博英(農研機構 生物機能利用研究部門)
養豚業において、感染症等による斃死・成長阻害等の直接的な被害、あるいは感染症への対策に要する費用等は最も重要なコスト増大要因と言える。ワクチンや薬剤等による感染症の予防治療も重要であるが、豚そのものの抗病性を高めることによる衛生対策コストの低減についても検討が必要である。感染症への抵抗性に関しては、遺伝的要因に伴う個体間差が存在することが想定され、育種により豚群全体の抗病性を向上させることが期待される。これまでに我々が行ってきた、豚ゲノム情報を活用した抗病性に影響を与える遺伝的要因の探索と、豚の抗病性向上のための育種についての研究の現状と方向性について解説する。
○DNAマーカーの品種改良への活用
1)DNAマーカーを用いた育種改良研究について
藤村達也(日本ハム㈱中央研究所)
養豚農場の規模拡大に伴い、疾病も多様化、複合感染化している。当社グループも年間約65万頭の肉豚を出荷しているため、疾病リスクは高い。従って、病気に強い系統の造成やDNAマーカーの開発は、事故率の低減に繋がる非常に有益な手法である。我々は、免疫形質を指標とした育種選抜を6世代に渡って実施し、生産性の高い集団の作出に成功した。しかしながら、このような形質を元にした育種選抜には時間も手間もかかるため、近年ではSNPチップなどを用いたゲノムレベルの解析による育種改良が世界的に検討されている。我々も前述の選抜集団についてSNPチップを用いたゲノムワイド相関解析を行い、選抜形質と有意に相関するDNAマーカーを検出した。今回の報告では、これまでの我々の取り組み紹介に加え、近年の国内外の報告を紹介する。
2)豚TLR5の一塩基多型(C1205T)がサルモネラ感染に及ぼす影響の検証
宗田吉広(農研機構 動物衛生研究部門)
Toll-like receptor (TLR) は細菌やウイルスの構成成分を認識し、自然免疫応答を誘導する病原体のパターン認識受容体である。中でもTLR5は細菌のべん毛認識に関与しており、これまでに我々は、In vitroの試験において、豚のTLR5の特定の一塩基多型(C1205T) が、サルモネラのべん毛およびサルモネラ死菌体の認識を低下させることを見出し、その簡易なASP-PCRによる検出法について報告した。そこで本研究では、当該一塩基多型をヘテロ、 あるいはホモに有するSPF離乳子豚にSalmonella Typhimurium (ST) を感染させることにより、当該一塩基多型のST感染に及ぼす影響をIn vivoレベルで検証することを目的として、感染実験を行ったのでその成績について紹介したい。